『深窓の愛玩人形』_2 ページ36
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リドルは指を鳴らし、Aの足枷を浮かせると、鉄格子がはまる窓へと歩みを進めた。
「今日は、美しい朝だ」
青々とした葉に、朝露が銀色に輝いている。
今日という日にふさわしい朝の光景だった。
「ハリー・ポッター」
目を伏せていたAが、ゆっくりとリドルへと視線を向けた。
Aの空虚な瞳に、分霊箱の影響で蝋人形のように生気を失ったリドルの顔が映る。
分霊箱の代償にリドルは肌を、Aは成長しない体と声を失った。
あの日、服従の呪文を唱えたリドルは、Aを操りマートルを殺害したのち、ピジョンブラッドルビーの羽根ペンを器に分霊箱を完成させた。
そして、それほど時間を置かないうちにエイブリー達三人を始末したのだ。
振り上げられたAの手を見て、リドルは服従の呪文が解けたことを知った。
Aにぶたれることも、なじられることも想定していたことだ。
来るべき衝撃に備えて、リドルは目を閉じる。Aから与えられる痛みは全て受け入れると決めていた。
しかし、いつまで経っても頬に痛みが走ることはなくて。
不思議に思い、目蓋を持ち上げる。すると、宙を彷徨う手と、苦渋に歪むAの顔がリドルの目に飛び込んだ。
そんなAを目の当たりにして、リドルは今までのことを全て打ち明けることにした。
Aの命を救うには、分霊箱を作るしかなかったこと。
世界の修正があるため、僅かなリスクも摘み取る必要があること。
友人の仮面を被り、Aを殺した者があの三人の中にいたこと。
そんな卑劣な者は死んで当然だということ。
話し終えると、Aはリドルの血濡れた手を握り締め、泣きながら頬ずりをした。
どうしてAがそんなことをしたのか、今でもよく分からない。ただ、彼女の頬が血で染まってゆくのを見ていると、胸がざわりとして落ち着かなかったことはよく覚えている。
これ以上、Aの頬を血と涙で汚したくなくて、「こうするしかなかった。全てAのためだ」と囁けば、Aはリドルの手を握ったまま泣き崩れたのだった。
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くろさわ(プロフ) - mikittyさん» お返事が遅くなりすみません！評価とお気に入り作者登録ありがとうございます！更新再開しましたらまた読んでいただけると泣いて喜びます！ (4月24日 20時) (
レス) id: 107fffb2fc (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 最初から最新話までいっきに読みました。世界観や言葉選び、関係と心の変化、物語の展開、全てにおいてドストライクでした。最高です。お気に入りと高評価させて頂きました！お気に入り作者にもしました！またの更新、とても楽しみにしております！ (3月22日 8時) (レス) id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
くろさわ(プロフ) - とーるさん» →なので、図書室に帰ったとて夢主は笑うことはなく…あまりにもリドルが不憫なので救済エンドを書いてあるのですが更新するか迷ったまま放置してました。。気になるところで切っててすみません！新章もうしばらくお待ちくださいませ！ (11月26日 16時) (レス) id: 107fffb2fc (このIDを非表示/違反報告)
くろさわ(プロフ) - とーるさん» 夢主はトムに恐怖心もありますが、悲しみの気持ちの方が強かったりします。好きな人の心を壊したのは自分だと思っているのです。でも、【分岐】で良心を手放してしまったリドルには夢主の感情を理解することは出来ず、すれ違ってしまっているのです。文字制限のため→ (11月26日 16時) (レス) id: 107fffb2fc (このIDを非表示/違反報告)
とーる(プロフ) - メリバでトムがずっと勘違いしてるのは主人公から恐怖を抱かれているということから目を背けているんだろうなぁと思うとすごく愛おしいですね。また新章待ってます！エイブリーの正体が気になりすぎる、、、！ (11月26日 10時) (レス) @page46 id: 2c1a894765 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くろさわ | 作成日時：2022年8月7日 16時
