【HQ】烏に紛れている鷹 part6【烏野】

＊261話「ほんとはわかっていた言葉」 ページ39

しばらく泣いて、落ち着いて......。

二人で手を繋ぎながら腰を下ろした。

何も言わない空間。
静かな空気。


私は......何をしているのだろう。


目元が熱くヒリヒリする。

相変わらず、冷たい手先。
けど、今は自分より一回りほど大きい手に包まれている。
絡まれた指から熱が伝わる。

あったかい......。




ほうっと息をはいたとき、孝先輩が口を開いた。


「A、戻ろう」

「え......」


驚いて顔をあげれば、試合と同じくらい真剣な顔。
何度も見てきた......先輩の顔。


「戻らなきゃダメだ」

「......」

「戻るべきだ」


ゆっくりと紡がれる言葉に、頭ではわかっているのに頷けない。

動けない......。

また震え出す体。
冷たくなっていく体。


戻る戻るもどるもどるもど、る......？

戻って......どうすればいいの？
戻って、何を言えばいいの？

私ニ何ガデキルノ？


またはまりそうになる黒沼。
まとわりついてくる闇。


ああ、やっぱり......。



この選択しかできない、と顔を伏せたとき、
昨夜のように頬を両手で包まれた。


「Aは“一人じゃない”だろ？」


言われた言葉に息をのむ。
今日二度目の言葉に......。


___「“仲間”だろっ」


結良の泣きそうな顔が浮かんだ......。

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