＊177話「けんか」 ページ45
「……と、お……て」
ゆっくりと浮上する意識。
孝先輩の声が聞こえる……。
ゆっくりと重い瞼を開けると
「え……っ？」
寝起きには中々心臓に悪く、一気に目が覚めた。
いつの間にか寝てしまったらしく、孝先輩の肩に頭をのせていた。
「ごごごごごめんなさいっ」
「いやいや、大丈夫だよ。それより、そろそろ着くってさ」
恥ずかしくて顔を伏せた私は気づかなかった。
孝先輩が悲しそうに微笑み、
そして何か言いたそうにしていたことを……。
バスから降りた後、軽いミーティングと連絡を済ませ、各々帰路に着いた。
「A、帰るべ」
「あ、チカちゃん校門で待ってて。
生徒会室に忘れ物とってからいく」
「ああ、わかった」
そんなこんなで生徒会室から、生徒会役員選挙についての紙をとって、
校門へ向かう。
夜の学校は不気味で、何かでそうだな。
むしろ何かでないかなあ。
なんて思っていると、何やら体育館が騒がしい。
「この声は……翔ちゃんと影山君？」
練習とは異なる声の大きさに、気になって体育館を覗いてみると、
「ちょっと、なにやってるの！？」
二人が取っ組み合いのけんかをしてた。
その側で顔を真っ青にしておろおろしてる谷地さん。
「谷地さん、部室にまだ誰かしらいると思うから呼んできてっ」
「は、はい！！」
動揺していたが、瞬時に動いてくれた谷地さん。
私は二人に負けないように、声を張り上げて止める。
だが、二人とも興奮しきっていて全く聞き耳を持たない。
私も男子の本気のけんかを前にたじろぐ。
どうしよう、と雰囲気にのまれそうになっていたとき
二人が手のひらを拳にし、そのまま相手に向けて殴りかかったのが見えた。
「だ、ダメっ」
咄嗟に動いた体。
頬と肩に尋常じゃない痛みがはしる。
痛みでその場にしゃがみこみそうになるが、
やっと動きの止まった二人に言葉を投げる。
「二人とも暴力で解決しようとしたってなんにもならないよ！？
スポーツマンなんだから、そんなことしちゃいけない。絶対だめだよっ」
そう叫んだ瞬間、田中が来てくれた。
私は田中と入れ違いに、体育館を飛び出した。
後ろで谷地さんの声が聞えたが、気にせず走った。
痛くて痛くて、こらえきれない涙が頬を伝った。
＊番外編「苦手なものor嫌いなものは？」→←＊176話「教え」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 399人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ハイキュー」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星蛍(プロフ) - 麗さん» コメントがすっかり遅くなってしまい、申し訳ありません。そうですね。検討しておきます！ (2020年11月22日 14時) (
レス) id: 1ee6b4a9bd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 28ページ こっちゃん とあだ名？で呼ばれていますが、これは固定なのでしょうか？ 名前変換出来るのにあだ名だけが固定だと不自然に感じます。 固定の名字から取るなら分かるのですが変換出来る名前から取ったあだ名だと違和感あります。 (2020年11月12日 19時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - ムーンさん» すみません！！変換機能をオンにするの忘れてました。直したので、名前変換できると思います。 (2019年2月25日 17時) (レス) id: 4856ab23f3 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン(プロフ) - 名前がずっと古都となっているのですが変換はできないのですか？ (2019年2月24日 22時) (レス) id: dbcb69aa60 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 夢花 (仮垢)さん» 返信遅れてすみません！！ ほめ言葉として受けとります笑 ありがとうございます！ (2019年2月22日 18時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星蛍 | 作成日時：2015年10月14日 20時
