カカオ72% Part 5

カタチ。 23 -side Ki- ページ6

………ん？

何でだ？

家の玄関にAの靴がある。
リビングも明るい。



今日はAはニカんちに泊まるって言ってたのに。

予定変わったか？



スマホを見るとニカからLINEが来てる。

ニカAちゃん帰って来てる?



これで察した。
喧嘩したな。



よりによってなんで今日かなー。

A誕生日だろーが。
全く。

ため息をつく。



「ただいまー」

何となく気が重いけど声をかけて玄関に上がると

「おかえりーっ」

思ったより元気なAの声。



はい、察した。

怒らせたのはニカだな。



パタパタと足音を立ててやって来たAは

「にぃー、おかえりーっ」

完全に泣き腫らした顔をしてるけど。
それより何より

「………え、どした？それ」

髪は短くなってるのは美容院行くって言ってたから知ってるけど
服が初めて見る服だ。



「やっぱ、変？」

自信無さそうにAが言うけど。

「全然！めっちゃ可愛い！すげー似合ってんじゃん！」

髪も服もめちゃくちゃいい感じだ。
Aのいい所が全部出てる。



「ホント？」

「ホントホント。すげーいいよ」

「良かったぁ」



ものすごく嬉しそうに笑うA。



はいはい、また察した。

ってことは、だ。
ニカが変なリアクションしたって事だな。



多分だけど。
推測でしかねーけど。

ニカが怒らせたであろうツッコミを敢えてするとしたら。



「スカート短くね？」

「え、これ最初のオススメより長いんだけど」

「そーなの？」



実際勧められたのは「安心してください、履いてますよ」状態のものだったらしい。



まぁ、これはこれでめちゃくちゃ似合ってんだけど。

これは外をこれで歩かれたら心配かも。

分かんねーよ？
ニカがどう考えたかホントのところは分かんねーけど。



「んー、俺的には心配。めちゃくちゃ可愛くなってるもん」

「あはは、にぃ優しいね」



嬉しそうに笑うAは
ぎゅむ、って俺に抱きつくと

「ありがと、にぃが褒めてくれたから自信ついた」

って嬉しそーに言うから。



「ん、可愛いよ。俺の自慢の妹だもん。何着てもどんな髪型でも可愛い」

「やったぁ」



語尾にハートがつく雰囲気で言うAは

「ね、ちょっと飲もうよ」

俺を見上げてニコニコして言うから。



仕方ない、付き合うか。



「ん、少し飲むよ」

「わーい、飲む準備してくるー」



キッチンに向かうAに見えないようにニカに
『ちゃんと帰ってるよ』とだけ返信した。

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