カカオ72% Part 5

カタチ。 22 -side You- ページ5

髪はボブにしてもらって
内巻きにコテで巻いてもらった。

普段の手入れ方法や
スタイルが長持ちする方法も教えてもらう。



そして言われちゃう。

「Aさんの髪、確かに綺麗だけど。営業じゃなくて本当に美容院で切ってもらえると嬉しいな。Aさんなら何時でも都合つけるから」

要するに『自分で切るな』って事だよね。
確かに大変だし家の中髪の毛だらけになるし良くないよね。

そもそもマキさんに仕上げてもらった髪が素敵すぎて
むしろこっちからお願いしたいのに

「私、Aさん気に入っちゃった」

なんてマキさんに微笑まれたら
イチコロで。



早速次の予約まで入れちゃった。



服もマキさんのおすすめを買うことにした。

自分で見てもまぁまぁ似合ってると思う。
若干若すぎな気もするけど
確かに今しか着られないだろう。

でもさすがにショートパンツより少し丈のあるミニスカートにして
それ以外にも年相応のを何着か買って
一度うちに荷物を置いてからニカの家に向かう。



途中のスーパーでニカの好きな惣菜を買ってると
ニカが居た。

あ、ニカだ。

思わず声を掛けそうになって慌てて止める。



ダメだ、ここ、外だわ。

他人のフリしないと。



チラッとニカを見直すと
何故かニカはものすごく怖い顔をしているように見えた。



……機嫌悪いのかな。



それにしてもこのタイミングでニカのうちに向かうと
シャワーもかぶっちゃうし
ニカ的に微妙だろうな、と思って。

買い物をしてから時間を潰して
ニカが帰るだろう時間を少し空けてからニカんちに向かう。



ニカの家に着いてドアを開けると
ちょうどニカがバスルームから出てきたところだった。



「やっほ」

「……うん」



ニカのテンションは、やっぱり低い。



どうしたの？って聞こうとしたら

「そのカッコ、どうしたの？」

何だか不機嫌な感じで聞いてくる。



あ、反応してくれるんだ。
ニカが好きなボブにしたからかな。

「似合う？」

クルッて回って聞くと
ニカは

「全っっ然」

即答する。



真顔で少し怒った声だからさすがにびっくりする。



「え、……ダメ？」

「全然、似合ってない」



あまりにも真顔だからガチなんだ、って分かる。



………そっか、私、ニカのタイプの女の子にはなれないんだ。



悲しくて、悔しくて。

涙が溢れてくる。



そんな私に気づいたニカは何かを言いかけたけどその前に

「ごめん、今日は帰る」

買った惣菜だけ置いてニカの家を出た。

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