秘めた想い その後 23 -side T- ページ24
Aにプロポーズを受け入れてもらってから
会社にも報告して
両家の挨拶も終えて指輪も買って
今どきには珍しく結納までした。
Aのことをめちゃくちゃ気に入ったうちの親は
会うとやれご飯だ買い物だって連れ回すし
その連れ回す運転は俺の役目。
せっかく久しぶりに会えても
親にAとの時間を取られちゃってガッカリしちゃう。
「俺のAなのに」
向こうに帰るAを車で駅まで送る道中に愚痴ると
自分との時間を大切にしてるのが嬉しいらしく
嬉しそうに笑うAがまた可愛い。
「玉森くんとの時間はこれから沢山出来るでしょ？」
Aがニコニコしたまま言う。
そう、Aは本社に異動が決まって
逆に俺は隣の県に異動になった。
その中間地点に部屋を借りてそこで新婚生活を迎える事になったんだけど。
「それはそれ。ずっと2人で居たいの、俺は」
「………ふふふっ。私もだよ、玉森くん」
はにかんで笑うAがめちゃくちゃ愛しい。
ただ俺には気になる事がある。
「ねぇ、A」
「ん？」
「もうすぐAも『玉森』になるのに、Aは俺の事『玉森くん』のままなの？」
聞くとAは目をパチパチさせてから
「………『あなた』とか『旦那様』って呼ぶ？」
真っ赤になって言うから。
からかってるのかなと思って。
「Aがそう呼びたいならいいよ」
外でそう呼ぶのって恥ずかしいと思うけど。
Aもそれに気づいたのか
「………」
黙って前を見た。
チラッとAを見ると耳まで赤いから軽く聞いただけなのに申し訳なくなって
「いいよ、『玉森くん』のままで」
「………」
黙ったままのAに意地悪し過ぎたのを反省してこの話を終わらせて
それからしばらく他愛もない話や
次に会う時は何を決めるか話した。
もう駅に着くって頃に
「じゃあ、また来週ね。今度は俺がそっち行くから」
「うん」
Aが頷いて。
ロータリーに車を停めるとAが
「ゆ、…裕太くんっ」
少し上ずった声で呼ぶ。
えっ！？
『裕太くん』って呼んでくれた！？
振り返ると耳まで真っ赤になったAが
「2人で居たかった、って言葉、嬉しかった」
目まで潤ませて俺を見上げて。
「来週は2人でずっと居ようね」
本当に嬉しそうに微笑んだから俺も嬉しくて
「うん」
頷くと照れて俯くAの顔に手を添えて上を向かせてキスをした。
Aとならずっと
ずーーーっと一緒に居たいな。
-END-
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深雪(プロフ) - 嘘だらけの婚約者、その後の話が読みたかったので嬉しいです。 (2022年11月21日 0時) (
レス) @page28 id: a8c1d7b9de (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - pupupupu8887さん» コメント気づいてませんでした！ごめんなさい💦 横尾さん編もようやく始まりましたので是非！ (2022年11月8日 20時) (レス) @page26 id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
pupupupu8887(プロフ) - いつも更新が楽しみです❤︎ (2022年9月25日 9時) (レス) @page2 id: e7fcebeb01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：shizu
| 作成日時：2022年9月25日 7時
