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嘘だらけの婚約者 その後 1 ページ25

私と渉のその後、と言っても。

正直変わった事はあまりない。



何故なら私と渉は元々婚約者という設定だったし
本当の事を知っていたのはミツさんだけだし。

「結婚しようと思います」って周りに伝えても驚くのは私の家族くらいで
渉サイドやお店の人達は「やっと?で?いつ?」くらいにしか思わない。



だからホントにひっそりと
私たちの中で関係が変わっただけ。



渉と思いが通じ合ってから数日後

「なぁ、A。指輪のサイズ何号?」

料理雑誌をめくりながら突然渉が言う。



「指輪?んー最近測ってないけど多分9号か10号。……いや、太ったから10号かな」

「へー」



骨太だから元々指輪は大きい。
コンプレックスなんだけど。

渉から聞いてきたから答えたのに間髪入れずに生返事で答える渉は
チラリともこっちを見ない。



「……何よ急に。しかも聞くだけ聞いて全然興味無さそうだね」

「うん、聞いてみただけだから」



だろうね。

だって渉が見てるのは料理の雑誌だし
渉がそういう身につけるものに興味があると思えない。



「そろそろ寝るか」



渉が雑誌を閉じて言う。



あぁ、そうか。

これは前と変わったところかも。



渉は絶対私と同じタイミングで寝るし同じベッドで寝る。

思いが通じあってからは渉からこう声を掛けてくれて
渉の部屋で渉と一緒のベッドで寝てる。



たまに抱き合いながら、もっとたまに深く抱き合いながら。



指輪のサイズを聞かれたのを忘れた頃に
いつものようにシャワーを浴びてリビングに戻るとテーブルに小箱が置かれてる。

有名な海外ブランドのやつ。



「……なに?これ」

「やる。可愛かったから」



こちらをチラリとも見ないでパピーの毛繕いをしながら言う渉。



可愛かったから?

なにそれ。



小箱を開けてみると指輪が入ってる。

真ん中に石もある。
めっちゃ高そう。ダイヤとかじゃない?これ。



「え、やば。いくらしたの?」

「……そーゆーの聞くなよ」



だって絶対高いよ。

開けてみて指にしてみたら………



「キツい」



入らなかった。

第2関節を通過した後は
ビクともしない指輪ちゃん。



「………やっぱ太ったんだな」



渉が言う。

『やっぱ』って何?
渉も本当はそう思ってたってこと?

酷い。



「……ぃ」

悲しくて悔しくて声が震える。

「ん?」

パピーから顔を上げた渉に

「最低っ!渉のバカっ!」

言い捨てて部屋に逃げた。





指輪はちゃっかり持って、だけどね。

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深雪(プロフ) - 嘘だらけの婚約者、その後の話が読みたかったので嬉しいです。 (2022年11月21日 0時) (レス) @page28 id: a8c1d7b9de (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - pupupupu8887さん» コメント気づいてませんでした!ごめんなさい💦 横尾さん編もようやく始まりましたので是非! (2022年11月8日 20時) (レス) @page26 id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
pupupupu8887(プロフ) - いつも更新が楽しみです❤︎ (2022年9月25日 9時) (レス) @page2 id: e7fcebeb01 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2022年9月25日 7時

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