Quite Talk

ジンクス(すぐ近くにいる ki) 2 ki ページ6

Aは
帰った後だったから


宏光ゴメン。
明日急に出張になって今から資料作り。
遅くなる。


急いでLINEして早く帰れるように資料を作ってると

「どうしました？」

新卒の子が声を掛けてくれる。



「あーちょっと明日急遽出張になって資料作り」

「出張ってことはA社ですか？」



最近の俺の案件を理解してくれてるその子は

「佐藤係長が似た案件最近やってて。その資料なら準備できます」

「え！マジで助かる！！」

資料作りを手伝ってくれるから
その間に課長や部長に連絡して内容の承認と明日の出張の許可を取る。



その子のお陰で1日近くかかる資料が
3時間で終わる。

「いやーマジ助かったわ」

「お役に立てたなら良かったです」

話しながら
部長と課長に報告を打ってるともう21時過ぎ。



Aもうメシ食ったよなー。

つか返事来てねーけど怒ってるか？
それとも何か事故とかに巻き込まれてねーか？

大丈夫か？



ソワソワしてると

「北山さん」

その子が声を掛けてる。

「んー？」

「…今度、一緒に出掛けてくれませんか？」

新しい交渉先とか飛び込み営業しよーとしてんのかな、なんて思って

「は？どした？」

詳しく聞こうとしたら

「好きになっちゃいました」

言われて一瞬頭が追いつかなかった。



何を？

どっかの企業の事か？



手を止めてその子を見ると
真っ赤になって俺を見てるから
ようやく告白されてるんだってわかった。

早く帰ることで頭がいっぱいで咄嗟に理解出来なかった。



でも俺にA以上の子なんて居ないから

「大切な彼女居るんだ、ごめん」

断るけど

「構わないです、2番目でもいいです。彼女にして貰えませんか？」

その子はまっすぐ伝えてくる。



確かにいい子だと思う。

性格で損をしがちだけど
仕事熱心で頭の回転も早いから成長も楽しみ。



でもそれはあくまで部下としてだから

「2番目なんて、そんな寂しいこと言うなって。他の誰かの1番に…」

言いかけて言葉のチョイスをミスったって気づく。
このタイプはしっかり言わないと。
案の定、

「ダメなんです、北山さんじゃないと。北山さんが、好きなんです」

その子が言う。



あー、失敗した！
そう思ったタイミングで

「Aさん？」

その子の言葉に振り返ると

「忘れものしちゃって。お先に」

スマホを手にしたAが愛想笑いしてる。



なんて最悪のタイミング！



「Aっ」



呼び止めたけど
Aは振り返らなかった。

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