Quite Talk

ジンクス(すぐ近くにいる ki) 3 ページ7

走った。

走って走って
限界まで走った。



止まって肩で大きく息をする。

涙がポロポロ溢れてくる。



宏光が即答しなかった。

曖昧な言い方しかしなかった。

それだけが悲しかった。



ほら、追い掛けても来ないじゃん。
それが答えだよ。

呼び止めたけのは
ヤバいって思ったからだよね。



スマホを見ると
ものすごく着信してる。

見ると全部宏光。



宏光話させて

LINEも来てるけど。



もういい。

もういいよ。



どんな話をされても
私はきっと今日の事を忘れない。

宏光の帰りが少し遅くなっただけで
不安になるだろう。



そんなめんどくさい女になりたくなかったし
それで宏光に嫌われるのも嫌だった。



A別れよう。
荷物は宏光が仕事中に運ぶから。

それだけ送るとLINEをブロックした。
電話番号を迷惑電話に登録もした。



仕事を優先する宏光は
うちには来ないはず。

しかもちゃんと私から終わらせたんだから余計に。

これであの子と付き合えばいい。



自分のうちに帰ると宏光は来ていない。

仕事を一番優先する。
そんな所も大好きだった。



「………〜〜っ」



涙が止まらない。

でも仕方ない。



大泣きして泣いて泣いて。

翌朝目がパンパンに腫れた。



コンタクトが入らないからメガネで出勤すると

「え、Aさんすごい顔ですけど」

後輩の二階堂君がドン引きしてる。



「…ちょっとね」

「あ、彼氏と別れたんだ」

私の右手の薬指に指輪が無いのを見て言う二階堂君は
ニシシッて笑う。

「………」

黙ったままの私に二階堂君から笑顔が消える。



「え、ガチのやつ？寝坊して忘れたとかじゃなくて？」

どうやら二階堂君は
ただからかおうとしただけみたい。

泣きそうになったけど二階堂君は悪くなから

「うん、フラレちゃった」

普通に答えた。



そして

「おはようございます」

あの子の声がする。



「「「おはようございます」」」

「…おはようございます」



皆に釣られて声だけは出した。

でも彼女の方見れなかった。



席についたのを確認して顔を上げると
彼女はこちらを気にするでもなく気にしないでもなく。

あぁ、こういうところも彼女のいい所だな、なんて思ってまた負けた気持ちになる。



同じ職場って厄介だな。
明日以降宏光と会うの気まずいな。

彼女と一緒に居るのを見るのも余計嫌だった。



そんな中で職場のグループウェアでの
掲示板に載ってるお知らせが目に留まった。

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