太陽の当たる場所 10

after Dahlia 9 side 2 ページ10

Aの誕生日前日。

なんとかその日のうちに帰ってくる。

A、起きてるかな。
もう寝てるかな。



最近朝はAが早かったり俺が早かったり
夜も俺が次の日早くて先に寝てたりAがそうだったりで
寝顔しか見てないから
今日こそはちゃんと会いたい。

明日Aは休みだし
起きててくれないかな。



ソワソワしながら家に帰ると
リビングの電気がついてる。



良かった、起きてた！！



急いでシャワーを浴びてリビングに行く。

「ただいまーっ！」

ドアを開けるとカウンターで何かを飲んでるA。

「おかえり」

ニコッて微笑まれて疲れも吹っ飛ぶ。



時計を見ると23:55。
ギリギリ間に合った！！

Aに駆け寄って抱きつくと

「わっ」

Aが驚いてるけど

「間に合ったー！ちゃんと誕生日の瞬間をお祝い出来るーっ」

抱きしめて腕を解いて改めてAを見る。



久しぶりに起きてるA。
疲れてるのか顔がやつれてるようにも見えて…



「なんか、目、腫れてない？」

「え？そう？気のせいだよ」



Aはニコッて笑ってAからしがみついてくる。



「誕生日の瞬間、何してよっか」

Aの頭を撫でてると

「んー、そうだなー。ニカに抱きしめてて欲しいかなー」

俺の胸元で深呼吸をするA。



「じゃあ、キスとかしちゃおっか」

「あはは、いいの？」

「いいよ。今日別々になっちゃうお詫び。でも夜には帰ってくるから」



ちゃんとその時にお祝いだけでもしたいな。
でもAは

「いまお祝いしてくれれば十分だよ」

ってクスクス笑ってる。



え、お祝いしたいのに。



「ウーバーでAの好きな物何でも注文していいよ」

「いいって」

「でもさー…」

「あ！ニカ！時間っ」

言いかけるのをAが遮るから時計を見ると15秒前。



「え、マジで！A顔こっち！」

グイッて顔を上に向けて

「え、まだ10秒以上…」

言いかけるAの唇を自分の唇で塞ぐ。



ギュッて抱きしめて
Aの唇の隙間から舌をねじ込んでAの舌と絡める。



しばらくそのままキスをし続けて、
チュッ、と音を立ててAの唇を吸う。



「誕生日、おめでとう」

「ありがと」



至近距離で見つめあってまた唇を重ねた。



何度も、何度も、飽きるまでキスをして。

次の日の仕事を考えて乾杯は1杯だけにしてAと一緒に寝て。



次の日の朝
Aに見送られて仕事に行って帰ってきたら




Aが家に居なかった。

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