太陽の当たる場所 10

after Dahlia 24 ページ41

「ねぇ」

「なに」

「ご飯作るよ」

「知らない」

「仕事遅れるよ？」

「大丈夫、今日昼から」



私がお腹がすき過ぎて朝早く起きちゃって
ニカに黙って24時間営業のスーパーに黙って行ったのが
相当不満だったらしい。

帰ってきてからシャワー浴びて戻ると
「何考えてるの！？」って説教から始まって。

まだ暗い、とか、寒いのに、とか色々言われて
謝ったけど過保護なお兄ちゃんモードのニカの説教は止まらなくて。

キッチンに逃げたら追い掛けてきたニカは
私を後ろから抱き締めて離さない。



「もー、ごめんって」

「無理。マジで血の気引いた」

「もう何処にも行かないから」

「ダメ。心配」



今日はなかなか許してもらえる気配がない。



「てゆーかさ、昨日の今日でこんな事する？」

一番の不満はどうやらコレのようだ。
さすがにニカが7時より前に起きる想定がなかった私の方が分が悪い。

「ニカに御礼兼ねて好きなご飯食べて欲しかったんだもん。冷蔵庫空っぽだし」

ニカへの御礼が優先だけど
ひとまずお腹が空いて目が覚めた自分の食いしん坊の事は棚に上げてみた。



「…好きなご飯って何？」

「炊き込みご飯とけんちん汁とだし巻き玉子」



献立を言うとニカが「ふふっ」て笑う。

あ、許してもらえるかな。



「でもそれなら俺が起きてから買いに行っても良かったから結果アウト」

ギュッて抱き締めてくれるニカは

「あーもう、誕生日プレゼントは首輪とロープだな」

なんて耳元で言う。



耳元で話されるとちょっとドキドキするけど

「何それ。いらないよ」

物自体が何だかそーいうプレイみたいで嫌。

「だめ。異論は認めない」

ムスッとしてるニカは本当に買いかねないから怖い。



「あ、そもそもA欲しいものあるの？」



ニカに言われて考える。



「…んーー。電気圧力鍋か、コーヒーメーカーか、無水調理器か…」

「何それ、料理道具ばっかじゃん」

「ニカとここで使えるし」

「……」



美味しいものを食べたいから
そーゆーのがいいな。

あとはフライヤーもいいな。大きな魚焼けるグリルとか、オーブンとかはさすがに高いな。



考えてると、ふとニカの腕が緩む。

振り返るとニカは真剣な顔をして

「ねぇなんでそう自分の事考えない事ばっか言うの？昨日約束したでしょ？」

何だか怒ってるけど。



「そもそもプレゼントいらない。ニカが居れば」



プレゼントより
これからニカと過ごせるなら
それが一番のプレゼントだよ。

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