すぐ近くにいる another story 8

シロツメクサ Ki -side K- 59 ページ8

数日後。

「あー、会った事あるその人」

妹のAが言う。



今日は太輔とAと姪っ子の朱莉(あかり)が
うちに遊びに来ていた。

俺を心配した太輔が
俺の休みと太輔の休みが被ったタイミングで
遊びに来てくれていた。

そこで初めてAにAさんの話をしたら
Aから衝撃の告白をされる。



は！？
いつ！？

いつの間に！？



「隣の部屋の綺麗なお姉さんでしょ？私会ったよ」

「「は！？」」

「たい兄がいなくてみつ兄のとこに泊まりに行ってご飯作りに行ったじゃん。あの時に」

「「え！？」」



太輔も聞いてなかったらしくて
同じタイミングで俺と同じリアクションをする。



「あはは！さすが兄弟！リアクション一緒だね」

「いやいや！そこじゃない！！え！？何で！？」



楽しそうに笑うAに俺より太輔が驚いてて

「だぁぁ、あーーっ」

Aに抱えられてる朱莉がつられて楽しそうに笑う。



可愛い。
朱莉がめちゃくちゃ可愛い。

ムチムチのほっぺに触るとものすごく気持ちよくて
めちゃくちゃ癒された。

「兄貴の顔っ」

多分目尻下がりまくりの俺の顔を見て
太輔が楽しそうに笑うけど。

朱莉が可愛いくてしょーがないんだもん。



「みつ兄があの人を好きになるの分かる気がする」

朱莉をあやしながらAが言う。



「あの人、優しいよね。私なら落ちてても拾って届けないもん、家の前にある大根」

「「大根？」」



家の前の大根ってなんだよ。

また太輔とハモってAが笑う。

「たい兄とみつ兄、ホント兄弟！笑っちゃうんだけどっ」

「いやいや、そこじゃねーよ。なにその大根の話」

めちゃくちゃ気になるんだけど。



「それより本当にみつ兄はいいの？このままで」



Aが俺の質問には答えず朱莉をあやしながら言う。



「何が？」

「みつ兄が自分から好きになった子の話って聞かないから」

「…そんな、好きっつーかなんつーか…」

「あーもう煮え切らないなー」



Aはムスッとして

「みつ兄は何で自分の事になるとそんなにチキンになるかなー！」

本当に腹立たしい、みたいな言い方をする。



え、そんなに？
ショックを受けてると

「お、A、よく言った。俺もそう思う」

太輔まで拍手してる。




「ただ、兄貴の気持ちも分かるよ。相手がデリケートな仕事してる人だからどこまで踏み込んでいいか分かんないよね」



優しい口調で話す太輔に
俺の芯を突かれた気がして泣きそうになった。

シロツメクサ Ki -side K- 60→←シロツメクサ Ki -side K- 58

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す