太陽の当たる場所 9

4U 19 ページ31

シャワーを浴びて
軽く夕飯を食べてると
洗濯機の音が鳴る。



「あ」

立ち上がろうとしたら

「いいよ、行ってくる」

ほぼ食べ終わってるニカが席を立つ。



それで思い出した。

ニカの家の洗濯機に
洗濯物入れたままだった。

それをLINEして帰ろうとしたんだった。



「あ、ニカ！私、ニカの家に…」

「洗濯物なら干してきたよ。だから少し遅かったでしょ？」



平然というニカは
普段なら洗濯機に洗濯物入れっぱなしなのとか怒りそうなのに
そのまま洗濯物を干しに行く。



いや、これはそれはそれで怒ってて
洗濯機の音で思い出して怒ってるな。



でも洗濯してから来るとか
ニカは冷静だ。

私が鍵置いて出てったところで
洗濯を優先するところがどこまでもニカだ。



案の定戻ってきたニカは少しムスッとしてて

「ありがとう」

「ん」

こっちを見ないで頷くニカはやっぱり怒ってる。



しばらく無言が続いて雰囲気に耐えられなくなって

「………ごめんなさい」

「何が？」

「洗濯物、入れたまま帰って」

「別に？俺が先に怒らせたんだし。次やったらめちゃくちゃ怒るけど」

謝ってもニカはムスッとしてて許してる感じがない。



「…怒ってるじゃん」

「怒ってない」

「怒ってる」

「怒ってないよ」



また繰り返す私たちは
最悪の雰囲気の中でご飯を食べる。



こんな感じで本当に一緒に住めるのかな。

でも悪いのは私だし。
ニカが許してくれるのを黙って待つことにした。



私が食べ終わったタイミングで
ニカも食べ終わる。

チラッとニカを見るとニカが手を合わせようとしてるから私も慌てて合わせて

「「ごちそうさまでした」」

一緒に言うとニカがチラッとこちらを見た。

「……ふふッ」

ニカがクスッと笑うから
もう許してくれるのかな、と思ってニカを見るけど
またムスッとした顔になっちゃうから
さすがに悲しくなった。



食器を持ってキッチンに向かうニカに

「洗い物やるよ」

声をかけたら

「ん」

また無表情で返事をしてニカはソファに向かう。



…そんなに怒らなくても。

でもこれに関しては謝るくらいしか
出来ないから。



洗い物をしてると
テレビでは私たちが大好きな芸人さんたちが
私たちが大好きなネタをやってる。

「A」

ニカが呼ぶからキッチンから顔を出すと

「ん」

手招きするから近づくと
グイッと腕を引っ張られてテレビの方を向いてニカの膝の上に乗せられる。



…恥ずかしくて
全然ネタが入ってこないよ。

4U 19 side 2→←4U 18 side 2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す