サイボーグな彼女 16

after ただ君と 6 ki ページ22

ベッドに横になって

「さっき酒井ちゃんに会った」

いつものように寝る前の他愛もない話をする。



「そうなんですね」

「元気そーだったよ」

「それは良かったです」



そしてつい流れで

「ハチにも会った」

言った途端

「…そう」

変な間を空けるA。



なんだよ、ハチになんかあるわけ？

「ん」

Aをじーっと見るけど特にそれ以上何もなくて。
あ、素か、なんて思って。



こーして見つめ合うのも久々だな、なんて思って普通に見ちゃう。



つーか今はハチとどうこうとか普通に考えてもねーよな。
Aはハチの気持ち知らないし
下手したらハチだって気づいてんのか分かんねーし。

ただ俺が気にし過ぎなだけで。



じーっと見ちゃう俺に

「…どうかしたの？」

敬語を辞めて
オフモードで聞いてくるA。



「んや、なんも？」



…そりゃAから見たらおかしいよな。

酒井ちゃんに会えた報告ん時に
『酒井ちゃんとハチに会ったよ』でいいのに
別で報告してさ。

一瞬隠そうとしてる自分が居るのが
何だか嫌だった。



でもAになんでか話すのもだせーし
なんとなくそのまま何も聞かずに居て欲しかったから
黙って抱きしめた。



「寝るか」



仕事終わったらそのまま福島だから
明日1日長いもんな。

早く寝ねーと。



「………」




Aは返事しないで
そのまま固まってるから
なんか考えてんのか、俺を疑ってるのか。



もしかしてハチの事考えてる？

だったらやだな。



考えさせないよーに

「ん」

いつものAが好きな俺の胸元にAの頭を寄せると

「おやすみ」

出来るだけ、優しく声を掛けた。



他の事を考えさせねーよーに
俺の事だけ考えてくれるよーに。

早く寝ちゃえよ、なんて思いながら。



ゆっくりAの頭を撫でてると
逆にこっちが眠くなってくる。



早くA寝ねーかな、なんて思ってたら
不意にギュッとAが抱きついてくる。



「んー？」



A？どーした？

声を掛けたかったけど睡魔には勝てなくて。



Aも寝よーよ。

背中をぽんぽんしてたらAから力が抜けてくる。



そしてふとAがもたれてくるから
あ、寝たなってわかる。

顔を覗き込むと無防備な顔してて笑っちゃう。



愛しくて
そのまま抱きしめてるとものすごく落ち着いて。

さっきのハチのモヤモヤも晴れてくる。



こんな気持ちになれるのはAだけ。



Aの落ち着く場所も
ずっと俺だけでありたい。

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