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after 二度あることは 24 ページ1

撮影を終えて帰ろうとすると
駐車場で待ち構えていた
河井くん。



「お願いだから、5分、いや3分でいい。話、させてくれないかな」



河井くんは言う。



さっきと違って真剣な顔をしてるから
何か言いたいとか話したいのかもしれない。

でも仕事の話では無いのは雰囲気で伝わる。



今更、何を話す事があるんだろう。

私はもう話したくない。

彼は何も変わっていない。
ペンダントが誰から貰ったものかだって
話す必要もない。



明日も宏光は仕事なんだから
早く帰って休ませないと。

「失礼します」

キッパリ言うと河井くんの横を通り過ぎた。

宏光も無言でついてきてくれる。



運転席のドアを開けると宏光側のドアを開けた。

電子音と共に宏光の前のドアが開いて
気まずそう宏光が乗り込む。

電子音に紛らせて

「…いいのか?」

宏光が聞いてくるけど

「はい」

短く答えてエンジンを掛けた。



河井くんが私たちの車を悲しそうに見送ってて
さすがに少し酷かったかな、って一瞬思ったけど
一瞬しか思わなかった。

やっぱり過去の記憶が
河井くんへの拒絶に繋がる。

私は間違ってない。
そう思った。



高速に乗ってから

「…あのさ」

宏光から声がかかる。



「良かったのか?ホントに」



遠慮がちに聞いてくる宏光。

宏光の立場からなら確かにそう思うだろう。
例え何かあったとはいえ
完全無視とかさすがに突っ込むだろう。



「はい。仕事のこと以外話す必要ないです」

「…ん、そか」



宏光は私の頑固な性格も分かってるから
理由とかまでは突っ込んで聞いてこない。



そのまま寝る体勢を取りながら

「これでこの話もうしないからさ、最後に一人言だけど言っていい?」

宏光は言う。



そして私の返事を待たずに

「あれだけ真剣に言ってきてたってことは、何かAに話したい事があったはずだよな」

話し出す宏光。



「聞く聞かないは確かに自由だけど、例えば『もう一生会えない』ってなった時に聞いておいて後悔するより聞かなかった後悔の方がデカい気がするんだよな」



宏光は本当に一人言のトーンで話すと

「特にAはすーぐ心のシャッター閉じちゃうもんなー」

アッアッアッ、て笑うと

「おやすみ」

すぐ寝ちゃう。



おそらく私に考える時間をくれるためだろう。



宏光の優しさが染みて
少し冷静になれた自分がいた。



ただ
さっきのペンダントを返してくれる時の態度を思い出すと
やっぱり話す必要ないかな、って思った。

after 二度あることは 24 ki→



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shizu(プロフ) - ごまさん» コメントありがとうございます!続編ちょこちょこ書いてますのでそちらも読んでいただけると嬉しいです🍀 (2023年4月6日 7時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
ごま(プロフ) - このお話本当に大好きでした。完結してくださりありがとうございます。 (2023年4月5日 0時) (レス) @page50 id: 65630f1c21 (このIDを非表示/違反報告)
智子(プロフ) - わーい!!またこの2人に会えるのですね😍楽しみに待ってます!! (2023年3月28日 23時) (レス) id: 87449810a3 (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - みさん» また書けるようにあっさり、それでも2人らしく終わらせてみました!コメントありがとうございます🍀幸せな気分になっていただけたなら嬉しいです❤️ (2023年3月28日 9時) (レス) id: 4bd01c80d1 (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - 智子さん» なんだかんだこの2人大好きなので多分ちょこちょこ書きます🍀既にいくつか書きたいので(笑) (2023年3月28日 9時) (レス) id: 4bd01c80d1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年6月21日 20時

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