太陽の当たる場所 8

never 16 ページ29

仕事帰り
叔父さんのお店に行く。

カウンターにいる叔父さんは
私と目が合うと

「……よぅ」

少し気まずそうに声を掛けてくる。



「…この前はごめんね」

私から謝ると

「いや、俺も感じ悪かったし」

叔父さんも謝ってくる。



気まずい雰囲気が流れたままのところに
叔母さんが奥から出てくる。



「あ！Aちゃん！この前はごめんね？誤解してたわー。あの男の子酔っ払って調子に乗ってただけなんだって」

「……え？」



何で叔母さんはそれを知ってるの？
はてなマークが止まらない私に

「この前、あの男が謝りに来たよ」

叔父さんが言う。



そうだったんだ。

田原先輩、来てくれてたんだ。



「うん、私は先輩についてくつもりない」

「私がこの人にAちゃんが将来の事で悩んでるって話したから余計にAちゃんがその人との未来で悩んでるんだと思って…」



叔母さんが申し訳なさそう。



でも全然私は気にならなくて

「ううん、私が勝手に怒っただけなの。叔父さん、叔母さん、本当にごめんなさい」

ちゃんと謝ると

「ううん、私たちも勝手に勘違いしてごめんね？」

叔母さんも謝ってきて
叔父さんはムスッとしたまま頭だけ下げる。

叔父さんらしいな。



「じゃ、ご飯食べてって？今日ね、美味しいブレンド茶あるのっ」

叔母さんが奥に行って

「…座れよ」

叔父さんがカウンターを顎で示す。

「うん」

座ると叔父さんはおしぼりと
上客用の私が大好きなカブの煮物を出してくれる。



「ありがとう」

「ん」



おしぼりを使いながら
そういえば北山さんにも謝らなきゃ、と思ってスマホを取り出すと

ニカあした

謎のLINEが来てる。



Aどうしたの?

送るけど返事はないし既読もつかない。



…変なニカ。

北山さんとのトークルームを開くと

Aこの前は叔父の店でごめんなさい
いま叔父と仲直りしました

LINEを送ると
すぐに既読がついて北山さんからのLINE通話が鳴る。



わ、急だな。



お店を慌てて出て通話を押すと

『もしもーし』

いつもの鼻にかかった北山さんの声。



「もしもし」

『こんばんはー。LINEありがと。仲直り出来て良かったね』

「…本当にこの前はごめんなさい」

『いえいえー』



クスクス笑うと北山さんは

『申し訳ないな、と思ってるならひとつ頼まれてほしーことがあるんだけど。頼んでいいかな？』

ものすごく優しい声で言う。



……頼まれてほしいこと？

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