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愛をこめて 4 T ページ6

うちに帰ると
リビングに明かりがついてる。

そしておだしのいい香り。

それだけでなんだか
いつもと違う感じがするし
Aが居るんだな、ってホッとする。

「ただいま」

リビングで声をかけると

「おかえりなさい」

ソファからひょこっと顔を出すA。

まだ19時前なのに
もうすっぴんで部屋着になってる。

「あれ？もう寝るの？」

「…ううん、シャワー浴びた」

ぴょこぴょこ歩いてきたAは
ぽすん、と俺にくっついてぎゅーって抱きついてくる。

「どしたの？」

頭を撫でるけど

「………」

Aは何も言わない。

どうしたのかな。

今日は千ちゃんと
ライブでのピアノの練習のハズだったけど。

他にも何かあったっけ？

「裕太」

「んー？」

「しばらく、このままでいい？」

小さな声でAが言う。

甘えてくるのが可愛かったから

「いーよ」

ぎゅーって抱っこすると
Aもぎゅーって抱きついてきて。

しばらく抱き締めてたけど。

…さすがに苦しくない？

「A？」

腕を解いてみたらAは真っ赤になってて。

本当は相当苦しかったみたい。

「え！大丈夫！？」

「…うんっ、大、丈夫」

Aは肩で息をして
相当苦しそうなんだけど！！

「もー、どうしたの？」

「どーもしないよ」

また懲りもせずAがぎゅーってくっついてくるから。

何か言いたくない事があったのか
上手く言えないのかなってさすがに思う。

だから

「苦しくないよーに抱っこしよーね」

ふわっと抱き締めるとAが

「ありがとう」

なんだか泣きそうな声でスリスリ顔を寄せるから。

なんだか猫みたいで可愛い。

「ご飯、作ったよ」

ちっちゃい声でAが言う。

「わ、ありがと。いい匂いするなーって思ってた」

「これから少しずつご飯作るね」

「え、やったぁー」

うちでご飯作ってくれるようになるとか。

Aがうちに居てくれるようになる気がして
ものすごく嬉しい。

仕事から帰ってきて
Aが居てくれる生活ってものすごくいいな。

「んふふふふ」

嬉しくて照れくさくて笑っちゃうとAが顔を上げて

「裕太、顔真っ赤だよ？」

俺より真っ赤な顔をしてAが言うから

「Aも真っ赤だよー？」

ほっぺをくっつけてみるとAの方が少し温かくて。

「…そうみたいだね」

Aが笑って甘くくすぐったい時間を過ごしたから。

結局何があったか聞きそびれちゃった。