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シロツメクサ Ki 17 ページ40

次の日。

ごみ捨てに出かけると
同じタイミングで北山さんの家のドアが開く。

「おはよー」

初めてコンビニで朝会った時は
ランニングしてて元気だったけど
基本朝は弱い低血圧な北山さんは
少し力なく笑う。



だから昨日の事を引かれて
笑顔が引き攣ってたのかなって思って
ちょっと身構えた。




「…おはよ」

ドアを閉めて鍵をかけると

「今日さー、昨日のしじみ汁にご飯と卵入れたの。めっちゃウマかったんだけど」

北山さんは普通に話しかけてくる。



そして

「次の休みいつ?焼肉行こーよ。そん時に鍋も返すから」

ニッ、て朝できる精一杯であろう笑顔で北山さんは笑う。



…昨日の私の話で引いてないのかな。

良かった。



ホッとしたら北山さんが笑って

「あ、昨日の話で嫌われた!とか思った?」

私の心を読んだかのように言ってきた。



バレた、と思ったから

「…実は」

素直に言うと

「アハハハハ!全然っ。なんか色々偉いんだなー、って思ったよ」

北山さんはごみ袋を持って歩き出す。



慌ててついて行くと

「事情なんて人それぞれじゃん。俺には俺の事情、AさんにはAさんの事情あるし。だからむしろAさんについて知れて嬉しかった」

北山さんはまたニッて笑う。



朝苦手なのに。

そんな笑顔してむしろ無理してないかな。



多分、そう不安に思ったのが顔に出たんだろう。

「こら」

北山さんは私の鼻をつまんで

「んな顔しないでよ。こう見えても俺はバリバリの営業マンだからAさんが悪い人じゃないことくらい見りゃ分かんの」

ちょっとチャラめに言う。



「…そう?」

「そう!」

ニヤッて笑う北山さんはエレベーターに乗ると

「で!いつ行ける?焼肉」

嬉しそうに言う。



思えば初めてだった。

北山さんと約束するのが。



いつもは北山さんが押しかけてきて
何となく出かける感じだったから。



「……来週の日曜日」

「おっけ!じゃあその日の夜行こうよ!…あ、日曜日だと家族連れで夕飯時だと混むよねー。夜8時くらいにしよっか」



北山さんはサクサクと決めてまた笑う。



その笑顔が
私のおかれた状況への同情なのかな、とも思ったけど
北山さんのまっすぐな目が
とっても綺麗だったから。



本当に問題ないんだな、って感じた。



ごみ捨て場に着いてお互いごみを捨てると

「じゃ!来週、約束ね」

北山さんが小指を出すから

「はい」

私も小指を出して指切りする。



…ちょっと、ドキドキした。

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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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