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シロツメクサ Ki 16 ページ39

すげー?

何が??

「だってさ、親を守るためにそうしたんでしょ?すげー優しいじゃん」

北山さんは言う。



言われた瞬間。
借金の額を告げた時の親の顔を思い出した。

『それは私たちではどうしようもない』っていう顔を。

そしてその顔を見て決心が出来た。
これは縁を切らないとダメだ、って。

それが私に出来る親孝行なんだ、って。

結局親とは当然それから会ってないから
私の選択が正解かどうかなんて分からないし
小夜子ママも弁護士さんも何も言わないから分からなかったけど。



北山さんっていう第三者から
私の選択は正解だよ、って
認められた気がした。



だからだろうか。
フッ、て体の力が抜けた。

気が緩みかけたけど慌てて引き締める。



だって

「優しくなんかないよ」

そうじゃないんだよ。

「自分の行動に自信が持てないだけ。また借金作るような人についていくかもしれないの」

だからもう人と関わりたくない。



「私の恋愛感情ってね、幼稚園で終わってるの」



きっとヒロくんだけだ。
私が好きだったのは。



そう伝えると

「アハハ、随分昔じゃん」

「そこで最大の恋して告白して失恋してるの」

「へー、そうなんだ?」

北山さんが笑ってくれて。
張り詰めた空気が元に戻りつつある。



「俺もだなー、一番の恋は幼稚園」

「ちょっと、乗っからないでよ」

「ホントだって!そこで酷いことしたからバチ当たって今もずっと失恋生活をだねぇ…」

「はいはい」

「もー!ちゃんと聞いてよ!」



笑いあって完全にいつもの空気に戻る。



良かった。

これで元通り。



時計を見るといい時間。

「少し多めに作ったけど持ってく?しじみ汁」

北山さんが帰るきっかけを作れるように声をかける。



「え!やったーっ!!雑炊ウマかったんだよね」

「ご飯は自分で用意してよ?」

「もちろんっ」

北山さんは嬉しそうに笑って
お弁当の容器を片付けはじめる。



あ、これで終わった。

ホッとした反面
北山さんの言葉が嬉しかったからもう少し一緒に居たいって思っちゃう自分がいた。



自分から北山さんが帰るきっかけを作ったのに。



「じゃ、おやすみー」

鍋を抱えて嬉しそうに笑ってる北山さんが手を振る。

「おやすみ」

返すと北山さんがものすごく笑顔になった。



「焼肉、リベンジしようね」

「うん」



笑いあって北山さんがうちの玄関を閉めた時。



北山さん
1人で冷静に考えた時に私のこと引かないかな。

なんて思った。

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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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