拾ってください。4 (ページ7)

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そのままの君でいて 4 ページ7

次の日、レッスンが終わった後で
打ち合わせに参加する。

ドラマのプロデューサーさんと
この前契約の時にいてくださった担当さんと
女優さんとそのマネージャーさんがいて
撮影について細かい打ち合わせをする。

私の仕事は
女優さんがピアノを弾く指の細かい動きらしい。

「「よろしくお願いします」」

その女優さんとご挨拶する。

女優さんを見るのって初めて。

女優さんはとにかく綺麗な人で。
すごくいい香りもするし肌もものすごく綺麗。

裕太はよくこんなに綺麗な人に囲まれてて
普通で居られるよね。

「ネイルとかはしばらくしないで下さい。腕の細さとかは同じくらいだから大丈夫そうですね」

プロデューサーさんが私と女優さんの腕を比べる。

「Aさんは実際数十秒しか映らないし手の動きだけなので当日は衣装着ますけど収録時間30分もかからないです」

「わかりました」

良かった。

そりゃ映らない方がいいし
とにかくピアノ弾くだけなら構わない。

「指の怪我は多少ならメイクで隠せますが気をつけてください」

「はい」

そうなんだ。
気をつけなきゃ。

撮影は来週って言うから
そこまではコンクール前みたいにしなきゃだね。

「弾いてもらう曲はコレで」

「はい」

楽譜を見ると弾いた事がない曲。

オリジナルなのかな。

パラパラと楽譜をめくる。

うん、弾けそう。

「大丈夫そうですか？」

「はい、弾けます」

楽譜を閉じたら
プロデューサーさんがびっくりしてる。

「…え？もうですか？」

「………はい」

担当さんが驚いてるけど
私も一応これで仕事をしているので。

「弾いてみますか？」

担当さんに尋ねると

「あ！お願いしたいです！動きの参考にしたいんで！」

女優さんから返事が来る。

すごいな。

女優さんってやっぱり女優さんなんだな。
演技の勉強もするんだ。

ピアノの弾くふりとかすぐ出来そうなのに。

「じゃあお願いします」

「はい」

担当さんに言われて弾いてみる。

どこか悲しいメロディだけど
すごく素敵な曲だった。

多分時間にして3分もないくらい。

弾き終わると女優さんが拍手してくれる。

「すごいです！！事前に頂いてた曲のそのままで参考になりました！ありがとうございます！」

女優さんは喜んでくれて

「さすが先生のお弟子さんっ！」

担当さんも喜んでくれる。

細かい打ち合わせをして終わったらもう夜中。

あーもう。

裕太と話す時間また無いな。