拾ってください。4

そのままの君でいて 19 T ページ38

夜。

ぼーっとテレビ見てると
スマホが鳴る。



Aから電話来るって言ってたから
ゲームしないで待っててそろそろかなと思ってたけど。



でも鳴ったのは電話じゃなくてLINEの通知。

送信者はAだった。
開くと再生のマーク。



………動画？

なんだろう？ピアノが写ってる？



タップすると流れてきたのは
ピアノでの『One Kiss』


しかも最後のサビは少しアレンジされていた。

え！かっこよ〜！



終わる頃にAから電話が来る。



「はーい」

電話に出ると

『聞いてくれた？』

ちょっと緊張した感じのA。




「うん！すごく良かった！！」

『…なら良かった』

「どーしたの？急に」



突然動画とかびっくりしたんだけど。



『……今日、バレンタインだから』

ちっちゃい声でAが言う。



え？

そう言われてカレンダーを見ると今日は2月14日だった。



全然気づかなかった。

そーいや最近お菓子もらうし
今日もミツマネからお菓子預かってた！



カバンの中のミツマネのラッピングを見たら
確かに『Happy Valentine』って書いてある。

お土産だと思ってみんなに「ミツマネからだよー」って普通に配っちゃった。



「そーだったんだ」

『…バレンタインだし、裕太にプレゼントをって思っても何も思いつかなくて』

「え？」

『裕太はいつもプレゼントくれるのに、私、何も用意出来なくて…』



Aの声はどんどん声が小さくなっていく。

えー、気にしなくていいのに。



「プレゼントなんていらないのー」

『でも、本当は何か残るものプレゼントしたかったの』



何だかAの声は泣きそうで。



『ただ裕太って持ってないものって無さそうだし』

「…まぁ、欲しいものはすぐ買っちゃうからね」

元々そんなに物欲ないけど。
欲しいなーってものは買っちゃうから。

『一成にアドバイスもらって、私にしか出来ない事って何かなって思ったらコレかな、って』

Aが言う。



そうだったんだ。
え、嬉しいんだけど。

なのにAは暗い声で。



「何でそんなに元気ないの？」

『…初めてのバレンタインなのに、ちゃんとプレゼント出来なかったから』

「えー？十分だよー？」

ピアノ曲のプレゼントとか最高だし。



でもAと俺には初のバレンタインだったんだもんね。

Aは気にしちゃったのかな。



「俺のために超ー考えてくれてありがとう」



そうだね。

せっかく両思いなんだし
こーゆーのも楽しみたいね。

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