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そのままの君でいて 20 ページ39

一成が帰る日。

「ありかとねー」

仕事帰りにうちに寄って
荷物とお土産を抱えた一成は

「まぁ安心したよ」

優しい顔で笑う。



確かに一成からしたら
いきなり私がテレビに出てて
こっち来たら裕太と半同棲してるんだからびっくりしただろう。

ちゃんとバーも見に来てもらった。

私が一番信頼してる一成から全部納得してもらって
正直ホッとした。



「一度父さんと母さんに話しに帰って来なよ」

一成が言う。
ごもっともだ。でも

「……いまの仕事が安定したら話しに行くよ」

それはさすがにもう少し軌道に乗ったらにしよう。
さすがにまだ始めたばかりだし。



「裕太さん、いい人だね」

一成が言う。

「うん」

正直私にはもったいない。



そして

「とりあえず、俺は何があってもねーちゃんの味方だから」

そう言って優しく微笑んでくれる一成に感謝しかない。



私は本当に周りには恵まれてる。

後は私が頑張って結果を出して
みんなに感謝を返さないと。



荷物を持つ一成の後ろで
ピンポン、とチャイムが鳴って
ガチャガチャ、ってドアノブが音を立てる。



「あー!間に合った!」

入ってきたのは裕太。



「一成くん!これね!」

裕太が何だかCDかなにかを渡してる。



「えー!いいの?」

「うん、その代わり協力プレイ手伝ってね」

「え!もちろん!!LINEする!!」



どうやら渡してたのはゲームソフトらしい。

一成と裕太はいつの間にか連絡先を
交換してたみたい。



「じゃあまた!連絡するねー」

一成が帰っていく。



「気をつけてねー」

「また会おうねー」



私と裕太が手を振って見送ると閉じるドア。



ドアが閉じるとまだ靴も脱いでなかった裕太は

「こんばんは」

私を振り返って見上げてふにゃって笑う。

「こんばんは」

私も返す。



たった数日なのに
その前までずっと一緒だったから何だか嬉しくて。



玄関の段差分裕太の顔が近い。

抱きつくと裕太が抱きとめてくれる。



「…いらっしゃい」

「んふふ、お邪魔します」



私の家の鍵を私が置いている隣に置くと
その横にもう1本鍵を置く。



「………これは?」

「うちの鍵」



あまりにもサラッと言うから
聞き間違いかと思った。



「え?」

「だから、俺のうちの鍵」



裕太はニコッて笑うと



「準備してるから明日おいでよ」

「準備?」

「Aがいつでもうちで過ごせる準備」



驚く私をよそに
裕太はふんわり柔らかく笑った。

そのままの君でいて 20 T→←そのままの君でいて 19 T



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りさ - shizuさん» わかりました(*^-^*) (2021年3月4日 3時) (レス) id: d9bbc47835 (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - りささん» お待たせしました。続編に進みました! (2021年3月3日 20時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 続編楽しみにしてます(*^-^*) (2021年2月21日 1時) (レス) id: 4e892c9c3e (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 続き待ってます(*^-^*) (2021年2月19日 1時) (レス) id: 983b81c132 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 続き楽しみにしてます(*^-^*) (2021年2月11日 1時) (レス) id: 7618a5cf86 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2020年5月3日 13時

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