拾ってください。4 (ページ28)

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そのままの君でいて 14 T ページ28

「ただいまー！」

Aのレッスン終わり
千ちゃんが戻ってくる。

最近の千ちゃんは
撮影の合間とかに空いてる部屋でAからレッスンを受けている。

そしてたいてい
帰ってくると機嫌がいい。

俺もAに会えるかな、とか
会ったらどうしよう、とか思ってるんだけど
実際は全然会えない。

ちぇーーっ。

「おっ、千ちゃん今日もご機嫌だね！どうだった？」

宮っちが絡むと

「進んだー！だいぶ練習出来たしこれからしばらくは自主練なんだ」

なんてしばらくAが居ないことを遠回しに告げられる。

さらにちぇーーっ。

「次に会うのは歌番組かな。その合間に見てもらえたら見てもらうけどそんな時間無さそうなんだよね」

「歌番組？」

「俺らが出るやつにtamaさんが手伝ってるバンドもらしくて」

そのグループ名を聞いて宮っちが

「え！俺めっちゃ好きなんだけど！」

ものすごく食いつく。

「すごい人じゃん、千ちゃんの先生」

「ね、ヤバいだけど」

「え、若い？可愛い？」

「んー、同い年で綺麗と可愛いの間、みたいな」

「へーー」

2人がわちゃわちゃしてて
ものすごく気になるし会話に入りたいけど
聞き耳立てるだけになっちゃう。

てゆーか、千ちゃん。
実はAに興味持ってない？

ソワソワするのを誤魔化すためにミネラルウォーターのペットボトルを手にした。

「え、じゃあ千ちゃんテンション上がるね！」

宮っが言うと

「それがさー、彼氏いるみたい。しかも結構束縛強めの」

なんてサラッと言うから思わず水を吹き出す。

漫画みたいに綺麗に
正面にいたニカに思いっきりかかって

「ちょっ、タマ！汚ぇーー！！」

ものすごく怒ってるけど
俺は俺で変なとこに入ってムセてそれどころじゃなくて。

何その束縛強めって！！！！

「パジャマがペアなんだって」

「え？束縛なの？」

「じゃない？人に全然見えないとこでペアって逆に怖くない？」

「そうかなー」

宮っちもピンと来てないみたいだけど。

「いいんじゃん、部屋着のお揃い」

まさかのガヤから助け舟。

「変に見せびらかすより2人だけの秘密っぽくない？」

「だから逆にそれが束縛系なんだってば」

千ちゃんは譲らなくて。

「てことは結局彼氏が居るってことだよね」

「そーなの。残念」

千ちゃんがサラッと『残念』って言ったことを
俺は聞き逃さなかった。

『残念』なのはAちゃんに相手が居るのが
嫌だからだよね。

むむむっ。