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そのままの君でいて 6 ページ11

いよいよドラマの撮影。

私より何故か裕太が緊張してる。



「私、ただピアノ弾くだけで何もしないよ?」

「うん」

「何で裕太がそんなにソワソワしてるの?」

「うん」



会話になってない。

笑っちゃう。



「もー、裕太?」

「だって……」



何だか親みたいだな、裕太。

でも裕太が緊張してるおかげで私は逆に全然緊張しないで済んでる。



「そろそろ時間でしょ?」

そう言うと
はぁーーってため息をついた裕太は

「……うん」

納得いかない、って顔で玄関に向かう。



心配し過ぎな気がするけど。
笑っちゃう。



玄関で靴を履きながら

「今日、俺も現場行くよ」

裕太が言う。



そうだったんだ。



「じゃあ会えるね」

「声は掛けられないけど」

「そうだね。私も他人のフリするね」



いざ口にしたら意外と寂しいかも。

多分それが顔に出たんだろう。
裕太が柔らかく笑う。



「Aに気づいたら眉毛かくね」

玄関を出る直前に裕太が言う。



「眉毛?」

「それくらいなら周りも不思議に思わないかなって」

「…まぁそうかもね」



そうか。

裕太だけに分かるサインか。



「なら私は髪を耳にかけようかな」

「ん、じゃあ2人だけに分かる秘密のサインって事で」

「うん」



笑い合うと裕太が目を閉じて「ん」って口を突き出してくる。
そこにそっと唇を重ねると裕太は柔らかく笑って

「じゃあ行ってきまーす」

自分から要求したのに照れた顔で裕太が出かける。



年上なのに可愛いな、ホント。



ロケ現場に行くと
確かにこの前とは違う人数と見たことがある俳優さん。



スタッフさん多いなー。



着くとすぐこの前のスタッフさんが見つかる。

「おはようございます、早速ですがこちらに着替えてください」

言われるがままに着替えて
すぐカメラテストに入る。



弾き終わって振り返ると
女優さんが来てて

「よろしくお願いします!」

挨拶をしてくれる。



「頑張ります」

頭を下げると

「また見てていいですか?何か弾く時に使う筋肉とかありますか?」

すごく熱心に聞いてくる。



…改めて言われると何処かな。



考えて自分なりに説明してるとチラッと裕太が見える。



あ、裕太だ。



でもすぐにまたそちらを見ないで
女優さんと会話を終えて少ししてから顔を上げた。



裕太が私から顔を逸らして
近くにいたスタッフさんに声を掛けてから
眉毛をかく。



…なんか秘密のサインってくすぐったい。



私も髪を耳にかけた。

そのままの君でいて 6 T→←そのままの君でいて 5 T



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りさ - shizuさん» わかりました(*^-^*) (2021年3月4日 3時) (レス) id: d9bbc47835 (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - りささん» お待たせしました。続編に進みました! (2021年3月3日 20時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 続編楽しみにしてます(*^-^*) (2021年2月21日 1時) (レス) id: 4e892c9c3e (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 続き待ってます(*^-^*) (2021年2月19日 1時) (レス) id: 983b81c132 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 続き楽しみにしてます(*^-^*) (2021年2月11日 1時) (レス) id: 7618a5cf86 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2020年5月3日 13時

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