拾ってください。4 (ページ26)

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そのままの君でいて 13 T ページ26

今日、Aは
バーでバイトだった。

でもAのうちに行くと
夕飯が置いてある。

え、俺のために？

今日行くって言ってないのに。

でも2人分あるってことはそういう事で。

明日は昼からだし
Aが帰ってくるの待って一緒に食べよっかな。

スマホでゲームしたり
ゴロゴロしてたら夜中になって
Aが帰ってくる。

「おかえりー」

リビングに入ってきたAに声を掛けると

「ただい…」

Aはパタパタ近づいてきて
ピタッと止まる。

「どしたの？」

「…勢いよく抱きついたら怒られたからまず止まってみた」

何それ。

尋ねる前に

「えいっ」

Aが抱きついてくる。

「うわっ」

「ちゃんと待ったよ？」

してやったりって顔のA。

多分この前勢いよく抱きついたのを怒ったから
今回は少し勢いを落ち着かせて抱きついてきたんだろうね。

結局抱きつく時は勢いあるから思ってたのとちょっと違うけど。

まぁいいか。

「よく出来ましたー！」

頭を撫でると

「あははは、やったね！」

って嬉しそうにAがギューってしがみついてくる。

可愛いすぎ。

腕を解くAが「あ…」って小声で呟く。

「どしたの？」

「……裕太、ご飯は？」

「Aと食べようと思って待ってた」

テーブルに視線を向けるとAが嬉しそうに笑う。

「…じゃあ一緒に食べよ？」

ギュッてまたしがみついてくるから
俺も抱き返す。

甘い時間が堪らなくて。

さっきまで不安だったけど
頑張ってるAを信じたいなって思う。

「そう！あのね！千賀さんとの仕事決まったの！」

Aが嬉しそうに報告してくる。

「うん、千賀がいってた。今回のピアノの先生がライブまで担当するって」

「そうなのっ」

Aは俺の気持ちと違ってニコニコしてて。

そんなにニコニコ？
何で？
千賀との仕事がそんなに楽しみ？

胸騒ぎがしたのに。
Aはまさかの

「裕太と少し近くにいたいな、と思って引き受けちゃった！」

って満面の笑み。

…………え？

俺の近くに居たくてだったの？

「あ、でもちゃんと仕事するよ？それに多分言うほど裕太と近くに居られないと思うし」

俺が嬉しそうじゃないのを心配したAが慌てて言うから

「…うん、分かってるよ」

安心させるように抱き締める。

Aが可愛いすぎる。

仕事で会うのが楽しみになってきた。

初めて会った時はどんなリアクションしようかな。