太陽の当たる場所

夢の途中 9 side 2 ページ18

帰りに

「じゃあまたね」

「うん、また」

口では言う俺とAちゃん。



でもどこかお互い盛り上がってない感を感じてる。



お店を出てタクシーに乗るとため息をつく。



やっぱり俺みたいなタイプ
友達って難しいのかな。



またため息をついて
社用スマホを見て明日のスケジュールを確認する。



明日終わるの遅いなー。
次の日休みだから良いけど。

日曜日休みでも
どこも行けないんだよね。



店から家まで近いからタクシーもすぐ着く。



お金を払って
家に入る鍵を出そうとして気づく。



……自分のスマホがない！！！



慌ててカバンを探すけど
どこにも無くて。



さっきAちゃんと連絡先交換したから…

スマホを使った時のことを考えて思い出す。



さっきのカバン蹴飛ばしちゃった時だ！！



てことはAちゃんかな。

確かに俺のスマホと似てて
何だかケースも同じ感じだし女の子にしてはシンプルなやつだった。



お店に電話をして大将に事情を説明すると

『あ！俺がAに渡したスマホかな』

Aちゃんにスマホを渡した事を聞く。



持ってるのがAちゃんなら安心だ。



大将から念のためAちゃんの連絡先を聞いて
何度か自分のスマホに電話を掛けるけど出ない。



そりゃそーか。

帰ってる途中だよね。



時間を空けてもう1回電話をしてみると繋がる。



『もしもし』



やっぱりAちゃんだ！



「もしもし！その声はAちゃん？」

『うん』

「良かったーー！持ってるのがAちゃんで！それ俺の個人用スマホなのっ」

Aちゃんなら悪用しないだろーし
なんとかなるっ。

あー良かった。



『届けに行こうか？』

Aちゃんは言ってくれるけど。



もう日付変わってるし。

明日の俺の仕事終わる時間は遅いし
さっきの当たり障りない会話の中でAちゃんだって確か仕事あるって言ってて
しかも明後日休みって言ってたよな。



なら遅くなってもいいよね。



「持ってて！明日の夜Aちゃんの家まで取りに行く！」



さすがに

『え！でも…』

Aちゃんが困ってるけど

「俺、明日終わるの遅いの」

女の子に夜遅く出歩かせるわけにはいかない。



『さすがに申し訳ないからどこか途中のとことか…』

そうAちゃんに言われて思いつく。



「ならさぁ、夕飯作ってよ！」

『え！？』

「多分日付超えるの。だからご飯作って」

『ちょっと待っ…』

「じゃねー」



強引に電話を切った。

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