この想いの結末は 9

after サプライズ？ 7 ページ6

Aside


0時を回る頃。

明日からの準備をようやく終えてひと息つくと
電話が鳴る。



【ストロベリースペシャル】



…あれ？太輔？




「もしもし？」

『……』



出ても無言。



「太輔？」


『♪Happy birthday to you〜 Happy birthday to you〜♪』



歌が聞こえる。
太輔の声で少し低めの優しい歌声。



え？HappyBirthday？

待って？今日何日？
カレンダーを慌てて見る。



『♪Happy birthday dear A〜♪』



……誕生日だ。

今日、私の誕生日じゃん。



『♪Happy birthday to you〜♪』



太輔が歌い終わる。



『誕生日、おめでとう』

「うん、ありが…」



言いかけて止まる。

待って。
私の誕生日ってことは。



11月8日を過ぎてる。



嘘でしょ？



『…A？』

太輔の優しい声。
優しい声が余計に辛い。



「太輔ーー…」

涙が溢れてくる。



『え！なになに？どした？』

「私祝ってもらう資格ないーー」



突然泣き出す私に太輔が戸惑ってる。
けど私の涙は止まらない。



最悪だ。

また忘れた。



『…なんで？』

「11月8日過ぎてるーー」



去年は今年こそ忘れないようにしようと思ったのに！

結局また忘れてる。



『あはははは！なんだそんなこと？』

「『そんなこと？』って！」



そんな言い方しなくても。



『だってAだって忘れてたでしょ？』

「……そうだけど」



そうだけど。

そうだけどさ。



『いいじゃん、気にすることないよ』

太輔の口調は優しい。
多分本当に気にしてない。

けど。



「…お祝いしたかった」



悔しくて涙が零れる。



鼻をすすっちゃうと

『え？まだ泣いてる？』

太輔に気づかれる。



『泣かないでよー』

「だって…」

『大丈夫だよ、祝ってくれなくていいから』



…多分。

太輔は優しさで言ってくれてるんだと思う。
気にしなくていいよ、って意味で言ってくれてるんだろう。

でも悔しくて。
私に祝われる必要なんてないから、って言われてる気がして。

試験前でメンタルやられてるから
余計に辛くて。



早く電話を切りたくなる。



「ごめん太輔。電話ありがと」

『え？』

「明日から東京で準備あるからもう切るね」

『え？ちょっと待ってA…』

「試験だから太輔のおうちには行けないけど。入所お祝い出来なくてごめんね」

『まだ話は…』

「ごめん、おやすみ」



電話を一方的に切って電源を切った。





せっかく電話くれたのに
ごめんね太輔。

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