この想いの結末は 9

after サプライズ？ 6 ページ5

「え！静岡にいないの！？」

アコから電話が来て
Aの明日の予定につた報告を聞いた俺は愕然とする。



『多分前に言ってた店長になる昇格試験だね』

「あー、そんなこと言ってた。1週間くらい実技見てその後筆記試験がある、って」



最後にうちに泊まりに来た時にものすごく分厚い本を見てた記憶がある。

芸能人だと働き方も特殊だけど
Aの世界はそうじゃないから
店長になったらスタッフのシフトを組むのに
本社のチェックが入る前に労務の決まり踏まえて考えないといけないらしい。

店長ならそうだろうね。

分厚い本を見ながら色々決まりがあるんだねーなんて話してたな。



「でもAうちに泊まるなんて言ってないし新幹線も取ってないけど」

『さすがに本社から支給されるでしょ』

「なるほど」

『良かったね、聞いておいて。明日こっち来てガッカリとするとこだったよ』

「…確かに」



確かに危ないとこだった。

明日がAの誕生日で
マネージャーが頑張ってくれて午後を休みにしてくれて。

「次の日早いけどなんとかしといたから」

ぶっきらぼうに言うマネージャーに感謝しかなかったけど。



そして今日もこうして23時には返してくれて
誕生日に電話出来るようにしてくれた。

なんだかんだマネージャーは優しい。



でも明日も朝から仕事だし
これ以上はどうしようもない。



「試験じゃ会いに行けないなー」

『仕方ないね』

「ありがとな、聞いてくれて」

『いえいえ』



アコには感謝しかない。



『ちなみに欲しいものも偶然聞けたよ』

「え？」

『友達の結婚式に行くワンピースと靴』

「………あ！！」



そうか。

半年前にワンピースにダメ出ししちゃったからか。



『あとねー、明日こっちから行く時に店寄ってくれるの』

「マジで」

『その時に私はプレゼント渡そうと思ってるんだけど。荷物にならないやつ』

「えーずるいなぁー」

『ふふふー。いいでしょー』



無理しないで明日会えるのは羨ましい。



「A、明日誕生日なの忘れてるかな」

『太輔の入所日に連絡来た？』

「…来てない」

最後のやり取りは先週だ。



『あははは、なら忘れてるよ。今年こそその日に絶対連絡するって言ってたんだから』



そうだった。
去年は気づいた日に絵馬書きに行ってくれてお祝いのメールくれたな。

今年もさすがに忙し過ぎてしかも大変だし無理だろう。
むしろ俺が何かしたい。



「なぁアコ、1つ頼まれてくれない？」

after サプライズ？ 7→←after サプライズ？ 5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す