サイボーグな彼女 12

好きすぎるから 18 ki ページ22

「…さん」

遠くで声がする。

いや実際耳元かも。
意識は遠いけど物理的には近そう。



「…たやまさん」

ゆさゆさ揺れる。



んー。
なんだよー。



「北山さんてば」

あ、Aか。
でもまだ寝ててーな。



「食べ頃ですよ」

何が？



うっすら目を開けると目の前にアイスのドアップ。



「んあ？」

「最初起こした時に起きなかったから食べ頃まで寝かせてたんですけど」



Aの声は耳元。
目だけ動かして周りを見ると周りも寝てる。



確かにたまにアイスってカチコチん時あるし。

微妙に時間かかるもんな。

さすがA。



「…おぉ、さんきゅ」

「はい」



アイスを俺のテーブルに置いて自分はタブレットを開いて資料を見てる。



相変わらず凛々しい顔。

マジで仕事中は頼りになるマネージャーだな。



アイスを食いながら眺めてると視線に気付いたのか目が合う。

俺を見る目が周りが寝てるからか少しオフな顔でなんかその切り替えにキュンとする。



「どうかしました？」

小声でAが聞いてくるけど。



実際は特にない。

けどそれで終わるのも微妙だし
もう少しオフの顔を見たいから



「なぁ、次に福島行けそうなタイミングは？」

なんてプライベートな質問をしてみると

「んー…頑張ればココですかね」

オフの顔をしたまま3月の2週目を指す。



スケジュールを見ると
この前行こうとした水曜日が午前中終わりで
木曜日が休みで
金曜日がオールナイトニッポンプレミアムっていうスケジュールだった。



しかもその木曜日が

「…ホワイトデーじゃん」

思わず口にする。



「ここまで私と北山さんが休みの日が無いんです」

淡々と話すAは相変わらずイベントに無頓着。



「なぁ聞いてる？ホワイトデーだってば」

「それが？」



何かありますか？って顔をしてるA。



「もーー」



まぁAがそういう人なのは重々承知してますけど？

それにしたって冷たい反応。



こうなったら。



「温泉リベンジしよ」

「予約します」



多分自分のスマホを操作してるからメモをしてる。



そんなAの耳元に口を近づけて

「一緒に入るからな」

周りにバレないように音を立てずにAの耳にキスをする。



みるみる真っ赤になるA。



ふふーんだ。

少しは意識しろっつの。




台湾に着いてすぐに移動開始。

映画のプロモーションや現地の取材対応をしてると
Aと炭谷さんの様子が何かおかしい。



どーした？

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