すぐ近くにいる another story 3

秘めた想い T 12 ページ15

そんな状態が約1ヶ月続く。

宮田くんも忙しいらしくて
あまり事務所にいないから
私は誰とも話さなかった。

お昼も外で食べるとか
コンビニのおにぎりを外で食べるとかしていた。



そしてその少し前から
事務所で飲む用のマグカップがなくなる。

ある日割られてごみ箱に捨てられていた。

最初は誰かが落として割っちゃって
言い出せなくて捨てたのかな
って思っていた。

でも新しいマグカップにして1週間もしないうちに
また割られていた。



これはわざとだな。

でもあの2人なんて証拠もないし
100均のマグカップにすれば良かったから問題なかった。



そしてそんなタイミングで課長が変わった。



私は伝票を処理しなきゃいけなかったから
歓迎会に参加出来なくて。



その次の日から
課長の様子がおかしかった。

話す時やたらと近かったり
何だかボディタッチが多かったり。



そしてこの頃から
玉森くんがやたらと私を見てる気がした。



でも気のせいだと思ってたし
話しかけてくるわけでもなかったから放っておいた。



「Aちゃーん」

宮田くんが久しぶりに事務所にいた。

「宮田くん久しぶり」

「ホントだよー、最近週末も来ないしさぁ……ん？」

笑って言って宮田くんがじーっと私を見る。



「なに？」

「…なんか雰囲気変わった？」

「え、そう？」

「うん、なんか違う」

「気のせいだよ」



なんて言って別れてからまた宮田くんとは会わなくなる。





その数日後。

残業して仕事をしてると
1度帰った課長が戻ってくる。



あ、新入社員の仕事してたのがバレるかな。

と思って伝票を隠して

「お疲れ様です」

って挨拶した。



すると

「今日は玉森とじゃないの？」

ニヤニヤしながら聞いてくる。



「え？」

「玉森と体の関係でしょ？」

そう言うとさらに私に近づいてきたから
なんとなく本能的に立ち上がって少し距離を取る。



何を言ってるんだろう。

私に対しても失礼だけど
玉森くんに対しても失礼だ。

玉森くんには好きな人がいるのに。



腹が立ち過ぎて一瞬カッとしたけど
課長の顔が気持ち悪すぎてとにかく逃げる。



「いいじゃん、俺ともそういう仲にならない？」

言いながら近づいてくる。

「私と玉森くんはそういう関係じゃありません」

「そうなの？新人ちゃんたちが言ってたけど」



…またあの2人か。

そう思った時に怒りを通り越してあきれ返って
どこか冷静になった自分がいた。



そしてあるものが目に入る。

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