サイボーグな彼女 11

ないしょとヒミツ 21 ki ページ16

よく寝たAは
撮影の立ち会いも元気そう。

スタッフさんとコミュニケーション取ったりとにかく動いてて。
もう大丈夫かな。



収録の合間にタバコに行くと炭谷さん。

「あと少しですね、北山さんと仕事するのも」



そうそう、あと少しだから。
杉山ちゃんもぼちぼち退院だし。


「そろそろ杉山も帰って来ますし」

そう言うと炭谷さんは少し驚いた顔をする。



「あ、その様子だと聞いてないですか？」

「何がですか？」

「玉森さんの映画のプロモーションの担当、Aちゃ…Aさんです」

「え！！！」



さらっと未だ名前呼びしてくんのも
タマの担当と言うより映画の担当ってのもびっくりする。



「俺だけが言ったワケじゃないですからね？周りが言ったんですからね？」

「……それだけAの仕事が認められたってことですかね」

「もちろん」

炭谷さんはニコッて笑う。
そしてタバコの火を消しながら



「ただ俺はうちの会社に引き抜くつもりですけど」

「はぁっ！？」

「Aちゃんが担当したらキスマイの仕事増えると思いますけどね」

そう言うと炭谷さんはすごい感じ悪い顔をする。



…キスマイのこと出されたら何も言えねーじゃん。



確かにAが転職することでキスマイの仕事が増えたら
キスマイにはいいことかもしんねーけど。



「……冗談ですよ」

炭谷さんはクスクス笑ってる。



「そりゃAちゃんが来て欲しいけどAちゃんは多分うちの会社に来る事を望まないですから」

そう言ってタバコの火を消してる炭谷さんは
さっきと違う優しい顔。

「俺でも充分キスマイにいい仕事持って来れますし」



ここまで言われてからかわれてることに気づく。



「北山さんいじめるの面白いっすね」

炭谷さんは笑ってるけど。



何も面白くないっつの。



「Aは譲りませんから、仕事もプライベートも」

周りに人もいないしそう言うと

「でも玉森さんのマネージャーの間は別行動ですよね」

って炭谷さんは意味ありげに笑う。



くそーー！ずりーこと言いやがって！



「まだ逆転のチャンスあるなー」

なんて言いながら炭谷さんがタバコの部屋を出ていく。



ムカつきながら俺も喫煙ルームを出て控え室に行くとAが

「おかえりなさい」

って優しい声で言う。



「ただいま」

そう言ってほっぺにキスをすると真っ赤になるA。

「仕事中です！」

怒ってるけど可愛くて。






ぜってー譲らねーから。


誰にも。

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