拾ってください。2

Flamingo 19 ページ36

一成が泊まって
次の日。

私と一成はディズニーシーに居た。



「さすがにここに1人は無理」

年末年始だし家族連れもいるけど
カップルが多い。

「まぁそうだね」

これはきついか。



チケット売り場に向かうと

「昨日のは冗談だから。自分のは自分で出すよ」

一成は自分の分を渡してくるから

「いいよ、出すよ」

断ると

「ねーちゃんボーナスないだろ？俺あるし。むしろねーちゃんの分だすよ」

なんてありがたいお言葉。



「ならせめて私ご飯奢るよ」

「うん」



中に入るとまぁ混んでて。



「で、目的は？」

「クマのぬいぐるみ」

「あぁ、ダッフィーとか？」

「そう」

「名前くらい覚えなさいよ」



お店に向かいながら歩いてると
すれ違う人が裕太と似たような背格好のカップルとかいるとつい見ちゃう。
そしてカップルの男の人が裕太じゃないとホッとする。



…病気だな。



ため息をつくと

「ねーちゃんの彼氏背が高くて髪短いの？」

一成が言う。



「え」

「さっきからそーゆー人見てるから」

「……」

「彼氏イケメン？」

「…私は好き」

「へー」



ニヤニヤしてる一成をぐーで叩く。



「いてっ」



そうこうしてるとお店の近くに着く。

限定版があるらしくてなんだか並んでる。



「やっぱり。だから1人で来たくなかったんだよね」

「なんでよ」

「辛いじゃん周りカップルだしつまんねーし」

「私と来るよりマシじゃないの？」



今どき姉とディズニーなんて微妙じゃないの？
そう思って聞くと

「いいじゃん。久しぶりにねーちゃんにも会いたかったんだよ」

なんて一成がニコッと笑うから。



クリスマスも年末年始も1人だったから
なんだか嬉しくて。



「いっせーい！」

「うわ！やめてねーちゃん！」

嬉しくて抱きつくと一成はものすごく嫌がる。



「いまお姉ちゃん人の温もり恋しいの！」

「知らないよ！知り合いとか居ても知らねーよ！？」

「いい！一成が一番好き！」

「やだよ！俺は嫁が好きだもん！」



必死で離そうとする一成にしがみついて離れない私。



「離れろってば！」

って一成が私を剥がした時にポケットに入れてた携帯が飛び出してガシャン！と音を立てて落ちる。

その上を私が踏んじゃう。



バキッて音がする。



「「あ」」



一成と顔を見合わせる。



…これは。



おそるおそる足を上げるとバキバキになった携帯。



開いてみたら画面は真っ暗で

誕生日の海の写真も消えちゃったって事かな。

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