拾ってください。2

Flamingo 20 ページ37

「ごめん」

「もう大丈夫だって」

「そんな顔色で『大丈夫』って言われても説得力ないよ」

「……」



ダッフィーのぬいぐるみを買って
帰ろうって言う一成をせっかく来たんだからって無理矢理連れ回す。

夕方に帰ることにして携帯屋さんに行ったら
写真はやっぱり復元出来ないって言われた。



「一成もう岐阜に帰るでしょ？いいよ、あとは1人で」

「そんな元気ないねーちゃん見て帰れるかよ。半分俺のせいでもあんのに」

「ううん、離れろって言われたのにしつこくくっついてた私が悪いよ」



さっきから一成と会話はしてるけど心が空っぽで。
写真がショックでどうしようもない。



店員さんに言われるままにスマホに変える。

連絡先は復元出来たらしい。
けど連絡先なんてらむしろ消えても良かった。
写真さえ残ってたら。



半泣きな私に
結局明日も休みな一成はお嫁さんに連絡して今日も泊まってくれるって言う。

こっちに居るなら岐阜の家の近くには映画館がないから
今日公開の映画のグッズを買いたいって言うから映画館に向かった。



「今日家でLINEとかさー、スマホの使い方教えるから」

「うん」

一成が色々言ってくれてるけど反応出来ない。



「…明日、写真撮りに行く？その消えちゃった写真」

一成が言ってくれるけど

「車じゃないと行けないから。大丈夫だよ、もう」

無理だもん、仕方ない。



泣きそうになってたらスマホが震える。



『裕太』



画面に出ていた。



「え！一成！これどうやって出るの？」

「は？」

「電話来た！ねえ！どうしたらいい？」



まず心の準備をしてから出たいから出方だけ聞こう。



でも慌ててる私に一成が

「指でこうやって…」

って画面をスライドしたら通話中になる。



「え！」

嘘っ！もう通話になってる？



慌てて耳に当てたら

『もしもし？』

優しい声。



それだけで泣きそうになった。



「…もしもし」

『メリークリスマスと良いお年をとあけましておめでとうと久しぶり』

「……うん」



裕太らしい挨拶に胸がギュッて締め付けられる。



ダメだ。
やっぱり好きだ。



『ねえ、明日会える？』

「え？」

『Aに会いたい。やっぱり会いたい』



やっぱりって何？

不思議に思ってると前にぶつかりそうになって

「こっち」

一成に引っ張られる。

「あ、ごめん」



『ん？』

「あ、えっといま外でぶつかりかけたの」

『あはは、大丈夫？』



久しぶりの裕太の笑い声に既に泣きそう。

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