サイボーグな彼女 9

はじめての。1 ki ページ40

炭谷さんがしつこい。


そんなにAと連絡取らなきゃなんねーことあんの？
しかも私用スマホにかけてくるとか
そこまで連絡必要か？
メールでいいだろーが。

緊急なら社用スマホを何回も鳴らせっつの。



「私用の方にまで掛けてくんの？炭谷さん」

「…たまに」

俺が聞くとAが言いにくそうに答える。
多分俺がイラついてるから余計言いにくいんだろーけど
ムカツクから仕方ない。



「炭谷さんに言ってよ『彼氏出来た』って」

「え！？」

Aが驚いてるけど



違うの？俺彼氏じゃねーの？



「…嫌なの？」



ミラー越しに俺を見てるAがものすごく真剣に俺を見てる。



「なんだよ」

なんか彼氏になったつもりになって俺としては
リアクションが思ったものと違って嫌なんだけど。



少ししたら

「ごめんなさい、何だか嬉しくて」

なんてAが笑ってるからすぐに機嫌が直る。




「じゃあ言えよ？炭谷さんに」

「分かりました」

「俺の前で電話しろよ？」

「え？」

「ダメなの？」

「いえ、大丈夫ですけど」



けどなんだよ？

聞こうとしたら



「北山さんって意外とヤキモチ妬くんですね」



なんてAが言う。

…確かにそうなんだけど。




これめちゃくちゃダサくない？
何だか言われた途端恥ずかしくなって

「…やっぱいい。Aの好きにして」

そう言ってブランケットに隠れる。




「北山さん」

Aが声をかけてくる。

「……なに」

「私用のスマホに連絡があるのは番号変わってないからなので別に教えた訳じゃないですよ？」

「…あっそ」



Aが言ってくれてるけど
なんか素直になれなくて。



「一応いま仕事中なので何となく言うのも微妙ですけど」

少し声を小さくしてAが言う。



何だよ。
何か文句あんのかよ。



「私は北山さん以外の男の人に興味ないですから」

ボソッと言うA。



………え？

思わずブランケットから顔を出すと無表情で運転してる。

けど耳は赤い。



「…A」

呼んでみるけど返事はない。



「ゴメン、ありがと」

「……」

「俺もAにしか興味ねーよ」

声を掛けたけど返事はねーし
見ると少し怒った顔をしてる。



多分機嫌直んなかったことと
ここまで言わせた事に怒ってるんだろーな。



今日Aんちに行く予定じゃなかったけど。

泊まりは怒るから顔だけ見に行こうかな。



なんて思いながら運転するAの横顔を眺めたまま眠りについた。

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