サイボーグな彼女 8

そうじゃなくて 23 ki ページ26

Aしかダメって
意味分かってる？



俺半分告ってんだけど。



モデルさんのカードの話したら全く興味なさそう。
でも

「モデルさん、北山さんの好みなんだと思ってました」

なんて言い出す。



「なんで？」

「…裕香さんに似てたから」



は？裕香に？

似てるか？
うーーん…少しだけだけど確かに雰囲気は似てる。



つーかまだAの中で裕香が消化出来てねーの？

正直意外だった。
Aがそんなに裕香を気にしてるなんて。




藤ヶ谷の言葉を思い出す。



『知られたくない気持ちって何だろうね』

『『好き』か『嫌い』だと俺は思ってるんだけど』

『しかもあの言いっぷりだと本人気づいてないと思うよ』



ちょっと試してみていい？




「俺の好きなタイプはね。自分より他人優先しちゃうような優しい子」

Aの背中をゆっくり叩きながら言う。



「ちゃんと見てないとすぐ勝手に勘違いして誤解しちゃうしものすごく面倒な子なんだ」

「……そうなんですか」

「喜怒哀楽も分かりにくいし。心ぜーんぜん開かないしすごく厄介なんだけど」

「大変そうですね」



なんでそんな人？とでも言いたいのか何だか不満そうにAが相槌を打ってる。



自分の事だって分かったらどんなリアクションするかな。
だから

「でも本当に優しい子なの」

そこが一番好きな所だからそれを伝える。




「まぁ俺の仕事柄彼女とか結婚とかぜってー無理だけど」

「確かに」

「でも好きでいるくらい自由だろ？」

「そうですね」



このリアクション。
Aのことって全く気づいてねーな。

思わず笑っちゃう。



しかも

「その人に気持ち伝えなくていいんですか？」

なんて言い出す。




なぁ藤ヶ谷。
俺にはわかんねーよ。

気持ち伝えちゃえば？とか
これが『好き』の気持ち隠したい子の反応？
俺に全く興味ねー反応なんじゃねーの？

『嫌い』じゃないかもしんねーけど
それにしても本人気づいてないにしても俺に興味なさすぎだろ。



「んー、まだいいかな。そもそもその子は俺のこと何とも思ってねーだろーから」

さすがに博打過ぎる。
まだいいにしておこう。

モデルさんとの誤解解くだけにした。



そしたら

「北山さんが片思いしてる方は私も知ってる人なんですか？」

なんてAが言う。



「……聞きたい？」

俺が聞くと

「……」

黙っちゃうA。



少ししてAは俺の背中の服を掴む。



それって、聞きたいけど聞けないってこと？

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