この想いの結末は 8

もう大丈夫 ページ10

Aside

太輔の家に着く手前の信号待ちで
車の中で助手席から後ろの席に移動する。



助手席のシートを倒して靴を脱いで車を汚さないように移動したにも関わらず

「…何だか動きが滑稽だけど」

太輔が笑いを堪えながら言う。



「これ以上華麗に動くのは無理」

「え！華麗だったの？」

ついに太輔が笑うから思わず睨む。



太輔は相当ツボだったらしくずっと笑ってる。
笑ってる顔を見れるだけで幸せな今は太輔を怒る気にもなれない。



けどあえて拗ねたフリをしてると

「…A、怒った？」

少し慌ててる太輔。



私が黙ってると

「ごめん、せっかく一緒に居てくれたのにね」

さらに太輔は慌ててる。
面白くなってきたから私は拗ねて窓の外を見てるフリをした。



すると、

「Aちゃん。いい子だからこっち向いて？」

子供に言うように話しかけてくる太輔。

「太輔、馬鹿にしてるてしょ」

「してないしてない」

太輔が私が拗ねたフリしてることに気づいて対応が適当になる。



「でもAが何考えてるかなんてすぐ分かるよ」

「私だって太輔が何考えてるかなんて分かるし！」

太輔が言うからムキになって返す。



「…じゃあこのあと部屋に入ったらどうなるかも分かってるよね？」



イケボで言う太輔。



「分かってるけどそれを私が許すかは別だからね？」



私が返すと黙っちゃう太輔。




…勝った。




「マンション着いたら俺が先に降りるから5分経ったら降りてきて」

そう言って太輔は車の鍵を渡してくる。

マンションの駐車場に着くとこちらを見ないで「後でね」って言うと太輔は車を降りる。



5分でホントにいいのか分からなくて7分くらい経ってから車を降りて人目を避けて太輔の部屋に向かう。

結果10分くらい経っちゃって。



部屋についたら玄関に太輔。



「車で寝ちゃったかと思った」

「人目避けてたらこんなに経っちゃって」

靴を脱いだ瞬間、太輔の腕の中。



「改めて色々本当にごめん」

「…ううん、私こそごめん」

「だからAは悪くないの。寂しい思いさせてごめん」

「だったら太輔も悪くないよ。会える時にこうしてくれるなら私もう寂しくなんかない」



本心だった。

太輔の腕の中に定期的に来れるなら、不安になる必要ないことが分かったから。



今日沢山話せて思った以上に不安なこと何もない事が分かったし
こんな遅くに私を迎えに来てくれた。




それだけでもう充分で私は相当満たされたから。

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