サイボーグな彼女

マネージャー開始 8 ページ30

焼鳥を食べた次の日。

家を出て3分で北山さんの家に着く。



そうなるといま11月でそこそこ寒いから車が暖まってない。
やっぱり10分くらい走らないとダメかー。



駐車スペースでアイドリングもうるさいだろうから
グルグル回ってから北山さんを迎えに行く。



と、北山さんがすでに外にいて待ってる。

あれ、早いな。



「おはようございます！ごめんなさい、お待たせしましたっ」

ドアを開けながら言うと、

「ベランダでタバコ吸ってたら車見えたからさー。慌てて来たらいねーし」

少し寒そうにしながら車に乗り込んでる北山さん。



「近すぎて全然車暖まってなかったので、この辺りグルグルしてました」

「あはは、何、そんなことしてくれたの？」

ブランケットに包まりながら
北山さんは笑う。



「いーよ、コイツあるからすぐ来ちゃいなよ。近くに引っ越した意味ねーじゃん」

ブランケットを少しアピールしながら言う北山さん。

「…分かりました」



北山さんはいいって言うけど
私は納得いってないから北山さんのベランダから見えない位置を通って車を暖めることに決めた。



「…俺に隠れて遠回りすんなよ？」

言って、寝る体勢に入る北山さん。



…バレてる。



寝る時のポーズとりながら

「A、返事は？」

北山さんからの名前呼び。



昨日のは気まぐれじゃないんだ。



脳内の記憶を辿っても
歴代で名前呼びしてたのは父親とお兄と彼氏だけだ。

ときめくというよりは、なんか慣れない。



「へーんーじーー」

後ろで返事を催促する北山さん。
言い方が完全な駄々っ子だ。



でも私にはマネージャーとしての務めもある。
北山さんが心地よく過ごせる移動車でないと。

だから話題を変えてみた。

「昨日はありがとうございました」

「…返事がまだだけど」

頑固な北山さん。



「これは私の仕事なんで、多少遠回りします」

私が言うと

「頑固だなー」

ものすごく不満そうな北山さん。



…どっちがですか。




「今日はキスブサと雑誌の取材か」

いよいよ寝るのか
声が寝る前の眠そうな声。

「はい」

「雑誌は二階堂とだもんなー、終わった後飲むかも」

「わかりました」



ブランケットの中に顔の半分まで入って完全ね寝る体勢で

「また、焼鳥いこーな」

ボソッと北山さんが言う。



私が聞こえないフリをしたら

「へーんじーっ！」

大声で言うから慌てて

「はいっ！」

て返事したら、笑いながら

「おやすみ」

って寝てしまった。

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