勇気を出して ページ34
「あと1つ考えて欲しいのは」
アコが続ける。
「もし仮に、付き合うことになったとして。仮によ、仮に。太輔、泣かさない自信ある??職業だけじゃなくて、距離も不利だからね???」
…何も言い返せない。
でも。
もし次にストロベリースペシャルを食べる時が来たら
一緒に食べたい、と思う俺は
我儘なのだろうか。
「とりあえず、お友達になりたいんだけど、
……………ダメかな」
アコに同意を求める。
「教えてくれるかわからないからね」
アコはため息混じりに言う。
スマホを取り出してしばらく触ってる。
そうこうしてたら、Aさんが帰ってきた。
「ただいまー」
「「おかえりなさーい」」
俺とアコがAさんの言葉に返す。
「ね、ね、Aちゃん!また今度ご飯食べに行こうよ!」
「え!!いいの!?行きたい行きたい!!」
アコの提案にAさんがめっちゃ食いつく。
「いっぱいお話したいよー!今日じゃ足りないー!…本当にいいの?」
「私が先に行きたいって言ったんだもん!いいに決まってるでしょうー!LINE交換しよ?」
「うんっ!」
アコのLINE交換提案に2人はLINEをふるふるーって交換していた。
登録が終わると、アコが立ち上がる。
「Aちゃんありがとう!トイレ行ってくるねー」
言いながら目配せする。
…この流れで交換しちゃえよ、ってことだな。
よし。
友達になるんだ、まずは。
「ねぇAちゃん」
勇気を出して名前を呼んでみた。
「は、はい!?」
驚いたのか、声が上ずってる。
「俺とも、交換してくれないかな」
「……え?」
「俺と、友達になってくれない??」
しばしの沈黙。
完全にAちゃん固まってる。
多分、固まってた時間は数秒だと思うんだけど、俺にはすごく長く感じた。
「……はい」
やっっっったーーーー!!
俺はふるふるしようとしたが、
「や、念のためQRで交換した方がいいと思います」
Aちゃんは言う。
あー、少し離れてても出来るって言うからね。
危機意識高い。
どうやるんだっけ?なんて四苦八苦して、
やっと登録する。
アイコンの画面がネイルの画面だった。
可愛いーー。
とりあえずミッション完了。
アコが帰ってくるのと入れ違いで、今度は俺がトイレに行った。
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作者名:shizu | 作成日時:2018年10月5日 4時