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嬉しい言葉 ページ32

俺の無理なお願いにAさんは真っ赤になり答えてくれる。

「たいぴーの…あ、ごめんなさい、普段たいぴーって呼んでます。たいぴーのいいとこは、カッコいいとこと、色っぽいところがありつつ、可愛いところもあって」

あ、たいぴーって呼んでくれてるんだ。

「私の1番好きなところは、とにかく何に対しても全力で取り組んでるところ。色気出す時はムンムン出して、キメる時はキメて、可愛い時は本当に可愛いし、全部が全力なんだけど『一生懸命やってます』じゃなくてスマートに全部やるところです!」

って顔を輝かせて俺を見た。

熱く語ってるうちに話に夢中になってくれてるのがわかった。
でも目の前に俺がいて、俺にいってるのを思い出したのか、また真っ赤になってしまった。


「…以上です」

「…ありがとうございます」


さすがに俺も照れてしまう。

でも、

…どうしよう。

ほんとに嬉しい。


ニヤけるのを抑えられなくて
口元を手で隠した。


「…自分で聞いといてそんなに照れて何も言えないくらいなら聞かないでよ。ただのAちゃんの公開処刑じゃないの」

「マジそれな」

アコとマネージャーが俺を責める。

「….ごめんなさい聞くだけ聞いて何も言えない…」

ダメだ、嬉しくて何も言えない。


「とんでもないです!こんなこと直接言える機会ないし、光栄ですよ、ホント」


Aさんは言ってくれてるけど、

完全に気を遣わせてるー。


俺を責めるだけ責めて、アコとマネージャーはまた寝そうになってる。

頼む!今は寝ないでくれー!


俺が困ってると、Aさんはクスっと笑うと

「2人とも寝そうですね」

そう言って俺に微笑んだ。



…助かったー、俺、そんな話題すら浮かばなかった。



「藤ヶ谷さんは眠くないんですか?」

あれ、藤ヶ谷呼びに戻っちゃった。

「Aさんのおかげで目が覚めました」

「え?」

「…ホントに嬉しくて。頑張って良かったって。俺、もっと頑張ろうって。だから、目が覚めました」

俺はAさんに向き直る。

「本当に本当にありがとう」

「いや、そんな、こちらこそありがとうございますですよ」

深々と頭を下げたら逆にお礼を言われた。

「え?」

なんで???



「だって、藤ヶ谷さんが努力してくれて、キュンキュンさせてくれてるおかげで、私は頑張れて今があるんですから」


ニコっと笑うAさん。


…これ以上幸せなこと言われたことって最近あっただろうか?

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作者名:shizu | 作成日時:2018年10月5日 4時

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