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穴があったら入りたい ページ23

Aside

「…見ないでって言ったのに…」

最悪だ。本人にこのロック画面見られるなんて。
もうどうしていいかわからない。
つーか拾ってもらったのに文句みたいになった自分のこの言い方!最低だわ自分。

なのに、


「ごめんなさい。見ないと取れなかったから。…でもありがとう、好きでいてくれてるんですよね」


…なんという神対応、キモっ!て実は思ってても顔にも雰囲気にも出さないなんて。
王子様なの?神なの??

しかも本人の口から「好きでいてくれてる」って。

たいぴーの口から「好き」って言葉!
ヤバイ、これはヤバイ。


ここは私も正直に答えよう。


「…Journeyのツアーに、友達に連れてってもらってからファンなんです」

「あ、だからロック画面が…」

「はい」


この腕絡ませてるのをDVDで再生させて、テレビ画面撮る時特有のチラチラがないようにスマホで撮るのに小一時間かけてます。
…と、心の中で言う。


「変な反応してごめんなさい。でもホント嬉しいんです、ファンの方のこういうの見るの初めてだから」


目の前のたいぴーが夢みたいなこと言ってる。

ファンに対して気を遣って言ってるだけでもいい。
本音が違ってもいい。
いま目の前のたいぴーが私に対して言ってくれてることがもう奇跡。

お礼を言って受け取ろうとしたらスマホが鳴った。チラッと見えた画面が親だ。
着信音は「REAL ME」

あぁーごめんなさいーー。
たいぴーもさすがに複雑な顔してる。

笑い上戸なあなたのことだから笑いたいんだろうか。
それとも人見知り発動しつつも必死で私に無理矢理神対応してたのに
まさかの着信音にもうドン引いてる??

いずれにしろごめんなさいだよホント。


とりあえずごめんなさいって、リアクションだけして電話に出る。
すみません、と口パクで言ってたいぴーに背中を向ける。


「もしもし?」

『ごめんA、いまLINE見たよ。電車まだ止まってるの?』


LINEで電車止まってることと、
無理は承知だけど、お父さんかお母さんどっちか迎えに来れない?って送っておいた。


「うん、そう」

『ごめんね、今日パパも私も飲んじゃったー』

あー、やっぱり???

そんな予感はしてたよ。

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作者名:shizu | 作成日時:2018年10月5日 4時

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