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初恋…と言っても良いものかわからないけど
あの時は本当にそうだと思ったんです。
「ありがとうございます。ですが、赤司くんに失礼です。」
「そんなこと無いッスよ!!!!!!」
「…そんなことあるんですよ。」
「何でそんな怒り気味なんスか…。」
「そうですね…黄瀬くんが誰にも言わないなら話しますよ?」
黄瀬くんは黙って頷いてくれました。
「私は中学1年生から赤司くんのことが好きでした。
でもそのときの私は男勝りで髪の毛だって今の半分
以上のの短さで、伸ばすなんて邪魔だと思ってました。
ですが、赤司くんの好みは品のある方だと耳にしました。
なのでそれを聞いてまず口調から直そうとずっと練習をしました。
それが敬語、それが抜けなくなってしまいました。
それからは趣味です。本当に昔は外で走り回って、虫とったり、魚釣ったり…
後は喧嘩もしてました。
でもそれも好いてもらうように、落ち着いた読書や音楽鑑賞などを無理矢理好きになりました。
キセキの世代の方々とも仲良くしようと思って話しかけたりしました。
途中で私の気持ちにある違和感を覚えました。
これは本当に好きという気持ちなのだろうか。と、
そしてひと通り考えた結果私は…
何でも出来る赤司くんになりたかっただけ、と
でもそれは出来ないこと、だから
赤司くんの隣にいれば何でも出来るように、完璧に見える、と
だから、私は必死に赤司くんの理想に自分を近づけようとしたんだと気づいたんです。
そんな醜い理由で私は私を暗示をかけていたのかと思うと今すぐにでも今までのように戻りたい、消し去りたいと思いました。
ですが、自分でしたはずなのに、こんな話し方にしたのも、こんな他人への態度をとるようになったのも…
自分でかけた暗示を解くことが出来なくなっていました。
だから、黄瀬くんが雰囲気が似てると思われるのは
まだあの頃の欲望が収まってないんです。」
黄瀬くんはここまでの長い話を黙って聞いてくださいました。
そして、口を開いて、
「俺は良いと思うッス。
俺は馬鹿だから、こんな事言える立場じゃないんスけど、
それは“憧れ”だと思うんス。」
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作者名:よみ | 作成日時:2015年2月16日 19時