＊ ページ6
あの日
2人で画材店に行った日
アイツは死んでしまった
通り魔だった
普通に生きている中で、出会う確率なんてそう高くないはずだ
でも、あの日は運が悪かったとしか言いようが無くて
『グルッペン……ｯ！』
gr「は………？」
帰り道
俺とAは買った画材の入った袋を持って歩いていただけ
どうして気付いたのかはわからなかったが、Aが俺の名前を言った瞬間
もう、Aの腹からは赤いものが広がっていて
ドサリという音と共に、その場に崩れ落ちる
俺を庇ったのだと気付くには時間はかからなかった
何故だか自分でも理解できないが、そんな気がしたんだ
そうじゃなきゃ
俺の名前を呼ぶ必要なんて無かっただろうから
周りから聞こえる悲鳴
駆けつけてくれる大人に囲まれて、刃物を持った男は無事逮捕された
むしゃくしゃしていた
そんなふざけた理由をぶら下げた奴に、Aは殺されたんだ
『あーあ……折角、現実逃避してたのにね』
gr「……そうだな」
無意識に働いた防衛反応
Aの死を受け入れられなかった俺は、勝手に自分の横にAを置いた
コンクール前は、毎年こうして2人で美術室に来ていたから
最後の最後、お前がいないなんて耐えられなかったんだ
自分の弱さに負けたんだ
gr「なぁA」
『なに』
gr「この色、どこに置いたら良いと思う」
そう言って、俺は自分のパレットにパステルグリーンを出す
未だに横にいるA……俺が作り出した幻影は苦笑いをした
『そんなの、俺はAじゃないからわかんない』
gr「……所詮、俺だもんな」
『そうだよ』
またへらりと笑うと、でも、と口を動かした
『Aが…本物のAが使えって言ったんなら、使ってあげなよ
彼の才能は本物だから』
gr「木の光面…と、雲の影面に…………だったか」
『確かね』
油と混ぜて、まだ乾いていないキャンバスに筆を乗せる
自分以外誰もいない空間で
筆とパレットが擦れる音だけが聞こえる
gr「…………別に、賞なんてどうでも良かったんだ」
『そう？』
gr「お前に勝てなくても良かった」
ただ
gr「1度くらい、お前に並びたかったんだ
………A」
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おつきみ(プロフ) - 大福の残骸さん» コメント書くのは勇気がいりますよね…お気持ちとてもわかります！それでもこうして感想を伝えて頂けて嬉しいです…。こちらこそありがとうございました！ (2021年2月10日 1時) (
レス) id: a31619cde8 (このIDを非表示/違反報告)
大福の残骸 - 初コメ失礼します！やっとこさコメントする勇気が出たのでコメントさせていただきます！初めて読んだときから文章の長さや行間に惚れてしまいました！内容も長さも最高で読んでいる間は時間も忘れて読み耽っていました。長文乱文失礼いたしました。 (2020年12月27日 21時) (レス) id: d02585a088 (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - ありがとうございます…！今まで書いてきた中で特に好きだなぁとおつきみも思っていましたのでとても嬉しいです！長文コメントもとても嬉しいです！こちらこそ、よろしくお願い致します。 (2020年7月30日 10時) (レス) id: a31619cde8 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - 「0」や「ずっと一緒」は必死に涙をこらえながら二人を最後まで見守りました。二回連続投稿してしまいすみません、この作品に出会えて本当によかったです！これからも、影ながら応援させていただきます。 (2020年7月30日 1時) (レス) id: fb051f3153 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。「どうやら俺はあと100日しか生きられないらしい」から来ました。夢主がd!メンバーに与えた影響に対してのメンバーの心情の移り変わりの表現が本当に素晴らしくて、五回くらい泣いてしまいました。rbrと夢主の関係性がとても好きで、 (2020年7月30日 1時) (レス) id: fb051f3153 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おつきみ
| 作成日時：2020年2月12日 22時
