〜８💌〜 ページ8
「そう言えば凛月とAって、
どこで知り合ったんだよ？」
俺たち2人きりと言うより、
3人でいることもそこそこ日常になってきてはいるものの、
ふと思ったのが、
俺って凛月のことをAに紹介したことなんてあったっけ？
ということ。
「中学校のときに、顔見知りだったって言うか…」
「ふーん、委員会が一緒だったとか？」
「ううん、一緒ではなかったんだけど…
保健委員の仕事中に、よく保健室で会ってたから。」
凛月は中学でも相変わらず保健室に世話になっていたし、
そりゃあ顔見知りになるのも当然か。
ちょっとホッとした。
もしも『中学時代付き合ってた』なんて言われたら、
ホントに気まずいことになってた。
今俺の膝にあるこの寝顔に
ありえないくらい嫉妬することになってた。
まぁ、いつもしてるけど。
「衣更くんたちは、幼馴染みだっけ？」
「そうそう、
俺も本当ならAみたいに
『凛月先輩』って呼ぶつもりが、
コイツがまさかの留年して今は呼び捨てっていう。」
「え、凛月先輩、留年してたの？」
どうやら知らなかったらしい。
「学校にいても見ての通り寝てばっかだからな。」
「知らなかった…。
でも傍から見たら、
確かに衣更くんと同級生に見えるもんね。」
「そうか？
まぁ、幼馴染みっていう距離感は、
昔から変わってないからな〜。」
「幼馴染みか〜…羨ましいな。」
凛月をぼーっと見ながら
そんなことを呟くA。
「…羨ましいか？」
俺らも、人前では『幼馴染み』とはいうものの、
どこを基準にそう言って良いのかは
俺にも分かんない。
生まれた時から一緒だったらいいのか、
それとも保育園から一緒だったら、
小学校から一緒だったらいいのか…
今のところ全部『なんとなく』だし、
気がついていないだけで、
多分Aにもそういう人はいると思う。
「自分のことを昔から見てくれていて、
誰よりもよく分かっている人が、
そばに居てくれるのって、
幸せなことだよ。
私にはそんな人、近くにいないし。
大事にしてあげないとね。」
お前に『幼馴染み』がいなくても、
お前には俺がいるよ。
「…そんなら、
俺がお前のことを、
お前よりももっと知っていけばいい。
そうすれば、お前は幸せだろ？」
なんて、ちょっとカッコつけるくらい許してくれ。
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