・ 炭治郎side ページ25
冨岡さんが去った後、俺は禰豆子と共に家へ戻った。
母さんたちを埋葬すること、禰豆子を人間に戻すために鬼殺隊になることを報告するためだ。
禰豆子の手を引きながら、戻った家は何度見ても悲惨で、血の匂いに顔を歪めてしまう。
ふと、鴉の死骸が無い事に気付いた。
ほんのり、藤の花の匂いがする事にも。
誰か来たんだ。
まさか、鬼が？
その疑惑に俺の手は強ばる。
しかし、それを察した禰豆子は俺の手を引っ張って、頭を横に何度か振った。
「鬼じゃないのか…」
ふぅと息をはいて、母さんたちを一人づつ外へ運び出して、穴を掘ってそこへゆっくりと横たえた。
禰豆子も協力してくれて、案外早く終える事ができた。
手を合わせて、母さん達の冥福と、俺のやるべき事を報告する。
「禰豆子、父さんにも挨拶してから向かおう」
ゆっくり頷いた禰豆子の手を引いて、家の裏にある墓へと向かった。
すると、墓へと向かう誰かの足跡がくっきりと残っている。まだ新しい。
やっぱり誰か来たんだ。
誰か皆目見当もつかず、顔も分からず、性別も分からない、その名無しの権兵衛に俺は首を傾げる。
次の刹那、俺は目を見開いた。
父の墓に、あの人が持っていった小銭入れの小袋が置いてあったからだ。
「……姉さん？」
禰豆子の手をパッと離して、来た道を走って戻る。
家の前に着いて、よく見れば俺たち以外の足跡が目立たない様にそこにあった。
幼い頃の記憶を手繰り寄せて、姉の笑顔を思い出す。
ぼんやりとしか思い出せないけど、あの人の匂いも雰囲気も忘れてない。
父や母が姉の墓を作らなかったのも、弟たちに姉の話をするのも、姉の私物をとっておいたのも、全てあの人が絶対に生きて帰ってくると信じていたから。
辺りの匂いを改めて嗅ぐが、やはり姉の匂いはせず、微かに残る藤の花の匂いだけだ。
俺たち家族と関係してる人で、あの時持っていった小銭入れと同じ物を持ってる人…それはA姉さんただ一人しかないじゃないか。
なぜ、帰ってこなかったんだ
なぜ、会いにこないんだ
なぜ、俺と禰豆子が生きていると知っているのに、待っていてくれなかったんだ
心のどこかで、姉は死んだと思っていた。
姉に会える日を諦めていた。
＿＿＿＿けれど、姉は生きていた。
安堵した気持ちからか、足の力が抜けて膝から崩れ落ちた。
瞳からは大粒の涙が流れ出す。
「……姉、さん」
家族の凄惨な姿を受けても出なかった涙が、ようやく零れ出した瞬間だった。
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ゆり - え！待って、私も桜柱なんだけど❗しかも、桜の呼吸一緒です (2021年11月11日 20時) (
レス) @page1 id: b7d6d649b3 (このIDを非表示/違反報告)
＊舞夜＊(プロフ) - 面白かったです！ �，任�願いします！！ (2021年10月4日 18時) (レス) @page49 id: a571a62cd6 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 安仙任さん» こちらこそ、引き続き読んでいただきありがとうございます！ (2021年1月7日 15時) (レス) id: 2c921dc331 (このIDを非表示/違反報告)
安仙任(プロフ) - 続きを書いてくれてありがとうございます。これからも応援しています！私は�，�いいです！ (2021年1月7日 13時) (レス) id: 80f06437e4 (このIDを非表示/違反報告)
蕨 - �，任茲蹐靴�お願いします (2021年1月7日 11時) (レス) id: e40d74d461 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朧月 | 作者ホームページ：http://fblg.jp/510814/
作成日時：2020年4月7日 16時
