・ ページ14
無事に怪我の手当てを終えたAは、寝台で眠るカナエを見届けると、屋敷を出ようと玄関に向かう。
「師範、待ってください！」
童磨について聞きたいのか、しのぶは彼女が出ていく事を引き留めた。
桜柱はそんなしのぶの頭を撫でると、口を開いた。
『お館様に報告してくるだけよ。だからそれまでの間、カナエの傍にいてあげて』
「…わかりました」
にっこりと微笑むと、彼女は蝶屋敷を出て産屋敷のもとへと急いだ。
＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿
無事に報告を終え、蝶屋敷に戻ってきたときには既に日が傾き始めていた。
本当なら、自分の屋敷に戻って体を休めたい所ではあるが、カナエの状態が気になる事と、自分と童磨についての事を話しておくべきだと彼女は思った。
静かに蝶屋敷に入ると、カナエのもとへと向かった。
規則正しく上下する胸に、Aは安堵して胸をなでおろす。
隣に置いてある丸椅子に腰を下ろすと、日輪刀を腰から外し邪魔にならないように寝台に立てかけた。
「師範、戻られたのですか？」
後ろからしのぶに声をかけられた彼女は、振り返ってうんと頷いた。
しのぶは、早足でAの隣に来ると丸椅子に腰かけた。
すると、二人を待っていたかのようにカナエの瞼がゆっくりと開いた。
そのことに驚いた二人は身を乗り出して、カナエの顔を覗き込んだ。
「姉さん！！」
「……しのぶ、師範…？」
『無事でなによりよ、カナエ』
嬉しそうに微笑む師範に、カナエは苦しそうに眉をハの字にさせた。
そして、意を決したように口を開く。
「師範、あの鬼…上弦の弐についてお聞きしたいことが」
『…分かってるよ。ここまできたら、二人には話しておかないといけないからね』
Aはそれから時間をかけてゆっくりと二人に話した。
自分が家族を捨てることになった事、童磨との鬼事の事、童磨が自分を狙っている事、童磨に関係することを全て包み隠さず話した。
師範の話の内容に、カナエとしのぶは絶句した。
『継子や弟子たちが次から次へと死んでいく理由が、なんとなく分かっていたの。でも、根拠は無かったし、あいつのせいだと思いたくなくて、目を背けてたのかもしれない。それでも、継子や弟子たちの死ぬ姿をもう二度と見たくなかった。残ったのはカナエとしのぶだけ…だから、次に狙われるとしたら二人だから、態と二人とは一線引いて接してきた。こんな事でしか守れないと思った不甲斐ない師範でごめんね』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2358人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆり - え！待って、私も桜柱なんだけど❗しかも、桜の呼吸一緒です (2021年11月11日 20時) (
レス) @page1 id: b7d6d649b3 (このIDを非表示/違反報告)
＊舞夜＊(プロフ) - 面白かったです！ �，任�願いします！！ (2021年10月4日 18時) (レス) @page49 id: a571a62cd6 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 安仙任さん» こちらこそ、引き続き読んでいただきありがとうございます！ (2021年1月7日 15時) (レス) id: 2c921dc331 (このIDを非表示/違反報告)
安仙任(プロフ) - 続きを書いてくれてありがとうございます。これからも応援しています！私は�，�いいです！ (2021年1月7日 13時) (レス) id: 80f06437e4 (このIDを非表示/違反報告)
蕨 - �，任茲蹐靴�お願いします (2021年1月7日 11時) (レス) id: e40d74d461 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朧月 | 作者ホームページ：http://fblg.jp/510814/
作成日時：2020年4月7日 16時
