42話 ページ13
辻「えっ、えっ。如何してそれを知っているんです!…先生、何で其れを知っているんですか!」
明らかに混乱してる辻村さんに綾辻先生は一言、「落ち着け」と宥める。
__併しまあ、落ち着ける筈がないだろうな。
エージェントは秘密が絶対である。
何もかもが監視対象から筒向けでは如何する事も出来ない。
綾「落ち着け、ミステリアスな女。君は拙い事は何もしていない。お互いの仕事をしただけだ。君の云う通り、俺は鉄格子の中に居ても不思議はない。それだけ人を殺したし、これからも殺す事が出来る。では俺が事務所で珈琲を飲んでいられるのは何故か?それは俺が政府にとって使える駒で探偵としての観察力を持っているからだ。今みたいな」
辻「…観察力」
綾辻先生は、面倒臭そうに溜息をし、煙管を置いた。
__説明するだけで面倒になるのか。
綾「上司に怒られたと思ったのは、此処に来る時間が何時もより遅かったからだ。君は任務に訳なく遅れるタイプじゃないし、君の上司は尖った人物だと聞いている。君に行きつけの珈琲店があるのは前に聞いていたし、口紅に拭いた跡が残っているからラテを頼んだと推測した。それから古書店街の細道は一方通行で車通りも少ない。あの道なら大きく時間をロスせず、後方の尾行を確認出来る。事務所の前で狙撃支援班と通信したのは通常対応だ。それに狙撃班が次にどの監視ポイントに移動するかは、二十四時間張り付かれているんだ。予想はつく」
辻村さんは綾辻先生の観察力に圧倒されていた。
__…今絶対、「これが観察力」て思っていますね。
私はそう重い乍らお茶を飲んだ。
辻「で、でもでも!」
危ない、お茶を吹き出す処だった。
__でも…って、子供みたい。
顔を伏せ、如何にか笑いで赤面の顔を隠したが綾辻先生は気付いているだろう。今の私に。
…恥ずかしい、でも辻村さん可愛い。
辻「私が入口前で云った映画の台詞!『私と同じ時代に生まれたのが、お前の失敗だ』!あれは如何やって判ったんです!」
綾辻先生は「そんなことか」と呟いてこう云った。
綾「聞かれたくない台詞は、もう少し小声で云え」
辻村さんは蹲り、思い切り恥じていた。
__否、でもとても格好良い台詞ですよ!
それを言葉にしたいが上手く口が動きそうにない(笑っているので)
併し、辻村さんが可哀想なので云うことにした。
あ「…い、いや…とて、ふふっ…格好良い…っ…せり、ふ…うぅ…」
綾「大丈夫か、秋夢」
辻「うわあああ///」
慰めるの失敗しました
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みすゞ - すごくかっこいいです…。これからも応援してます! (2021年12月19日 23時) (レス) @page16 id: a79f0b541b (このIDを非表示/違反報告)
文ストは神 - 面白いです!更新楽しみにしてます。頑張ってください! (2021年7月23日 17時) (レス) id: 83c4af30f1 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ味の白兎 - 頑張って下さい!応援しています! (2019年4月1日 21時) (レス) id: 8cc010c4ca (このIDを非表示/違反報告)
天野紗綾 - 更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2018年1月17日 23時) (レス) id: 17282353fe (このIDを非表示/違反報告)
曇天に笑う - 更新して欲しいです! (2017年11月29日 8時) (レス) id: 9a5180e9be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜木 華奈 | 作成日時:2017年1月9日 22時