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萩原side
Aが失踪してから早くも三ヶ月が経とうとしている。
日に日にやつれていく松田を見るのは、なんとも心苦しかった。
煙草を吸い、コーヒーを胃に流し込み、何とか自我を保っている。
そんな感じだった。
仕事終わりには必ず捜査一課に顔を出す。
松「伊達、Aは」
伊「……戻ってきてない」
松「……そうか。今日もまだ」
毎日同じ質問を繰り返し、肩を落とす。
そして空席になったAの席におもむろに座り、何をするわけでもなく時間を潰す。
まるで主を失った忠犬のように。
伊「萩、松田は大丈夫なのか」
萩「なんとも……仕事にミスがでてないだけ幸運って感じだよ」
爆弾処理班。
その名を背負う俺と松田の背後にはいつも死神がいる。
たった少しのミスが鎌を振るうことになる。
そう、上司が言っていた。
あいつの背後には、まさにその死神が見えていた。
今か今かと手招いてまっている黄泉の使者が。
萩「Aの捜索願いとかでてないのか?家族からとか……」
伊「でてない。俺たちで出そうかと考えたんだが、なにせAだ。そんな事されたら嫌がるだろうと思って」
萩「そうだよなぁ……それにまともに相手にされないよな。俺たち友人であって、血縁者でもなんでもないんだから」
もしかしたら俺たちの知らない両親の実家へ帰って、案外のんびり暮らしているかもしれない。
いつものように危険に身を晒しているのかもしれない。
ただ想像することしか出来ない。
ふと、松田が呟いた。
松「あいつのこと、なんにも知らなかったんだ」
その通りだと、思った。
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白ウサギ(プロフ) - まなさん» ありがとうございます!励みになります。頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします (2020年12月15日 17時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - めっちゃ面白くて1話から一気読みしてしまいました!これからも更新頑張ってください!楽しみに待ってます! (2020年12月15日 14時) (レス) id: 0c8a00fae9 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - 毬莉さん» コメントありがとうございます!絶対松田さんは待ってくれると思います! (2020年10月4日 14時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
毬莉 - 陣平のこと大好きです!こんなに手が汚れてしまった私でも待っててくれる彼は最高です!更新頑張ってください! (2020年9月29日 0時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - ありがとうございます。更新頻度は少なくなりますが、頑張ってきいきます (2020年9月26日 1時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白ウサギ | 作成日時:2020年8月14日 15時