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松田side





長く肺に溜まった黒い煙を吐き出す。


のぼりゆく煙とは裏腹に、重くのしかかる罪の意識は消えぬままだった。


サングラス越しの世界とはまた違った、色を失った白黒の世界。


味のしない煙草を指先で弄るばかり。






萩「松田」





コツリと一つの足音が背後で止まる。


長髪の色男。





萩「もう休憩時間とっくに終わってるだろ。じんぺーちゃんだけサボらせるんけにはいかないんでね」





そう呟いて俺の隣で煙草を吸い始める。


その視線はずっと俺の左手を見つめていた。


燃えて短くなっていく右手の煙草と、


送っても返ってこない返信をただ待つ携帯を握る左手。


その画面にはあの日のメールがうつされていた。








”またいつか




五人全員が揃ったら




また会いましょう”









その日の翌日、俺の想い人は失踪した。


彼女が勤めていた捜査一課の机の上には、彼女の辞職を知らせる封筒が。


電話もでない。


メールも返ってこない。


どこへ行ったのか。


何をしているのか。


ひとつもわからない。







萩「……松田」


松「……わりぃ、休憩時間終わりだったな」






くしゃっと火を消して、携帯を閉じる。


消えた画面の光に寂しさを覚えた。


いや、虚しさか。


空っぽになったポケットに手を突っ込み、萩原の横を通り過ぎる。






またいつか。






果たしてその日はくるのだろうか。

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白ウサギ(プロフ) - まなさん» ありがとうございます!励みになります。頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします (2020年12月15日 17時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - めっちゃ面白くて1話から一気読みしてしまいました!これからも更新頑張ってください!楽しみに待ってます! (2020年12月15日 14時) (レス) id: 0c8a00fae9 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - 毬莉さん» コメントありがとうございます!絶対松田さんは待ってくれると思います! (2020年10月4日 14時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
毬莉 - 陣平のこと大好きです!こんなに手が汚れてしまった私でも待っててくれる彼は最高です!更新頑張ってください! (2020年9月29日 0時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - ありがとうございます。更新頻度は少なくなりますが、頑張ってきいきます (2020年9月26日 1時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白ウサギ | 作成日時:2020年8月14日 15時

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