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私は一応のところマフィアに属してはいるが、回ってくる仕事は黒社会とは名ばかりの、誰もやりたがらない溝浚いばかりだ。
その理由は単に、私には地位と実績がないからであり、どの幹部派閥にも属していないため、愚にもつかない無賃仕事を押しつけ易いからである。
要するにマフィア内の何でも屋だ。
決して好きでやっている訳ではない。
重役の妻と愛人に左右同時に怒鳴られ続けた時は、ここで舌を噛み切ろうかと二度ほど真剣に考えた。
私がそういった立場と業務に追いやられているのは、単純に、他に何も出来ないからだ。
何故なら＿＿
「じゃあせめて、連れていってよ。
邪魔しないからさ」
「お勧めしませんね」
安吾が横目で太宰を見る。
「犯人捜しや物捜索はともかく、人間関係の悶着に太宰君を連れていっても、盛大に延焼するだけです」
「私の所為で延焼する人間関係って何か素敵」
「ほらね」
私は安吾の指摘には答えず、黙って酒を飲んでいた。
「太宰君、他人の仕事に頸を突っ込む前に、何か趣味を持ったらどうです？
自○未遂よりもう少し健康的な奴を」
「趣味って云ったってさあ」
太宰は少年らしさの残る顔で唇を尖らせた。
「チェスや碁は簡単すぎてつまらないしさ。
何かある？」
「運動競技とか」
「私疲れるの嫌い」
「学問は？」
「面倒だなあ」
「では料理……いえ、何でもありません」
安吾が首を折って口元を押さえる。
かつて太宰が私と安吾に振舞った『元気水炊き』なる料理の味を思い出したのだろう。
名前の通り元気になる味ではあったが、元気になっている間の、食後数日間の記憶がない。
後で材料を問い糾しても、
「うふふ」
と笑うだけで答えてもらえなかった。
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織田作之助
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ミュウ=ムー(プロフ) - 教えてくださり、ありがとうございます。 (2018年9月20日 19時) (
レス) id: 1429768fb6 (このIDを非表示/違反報告)
kana(プロフ) - オリジナルフラグははずさないといけませんよ。違反行為なので (2018年9月20日 19時) (レス) id: 8d50bc542b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：皇帝ペンギンM← | 作成日時：2018年9月19日 21時
