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*
相手の腕が伸びてきた。
だがその腕は私を掴むためのものではなかった。
私ははっとして、左脇にかかえたままにしていた白い金庫を素早く引いた。
敵の手は空を掴んだ。
男は素早く体勢を立て直すと、ナイフで牽制しつつふたたび距離をとった。
相手の狙いはこの金庫だ。
これを手に入れるため、逃げたと見せかけてここで待ち構えていたのだ。
だとすれば、あるいは私はこれを持って、一目散に逃げ出したほうがいいのかもしれない。
敵が何者で、この金庫の価値がどれほどなのか、私のほうには仮説ひとつの持ち合わせもないのだ。
しかも敵はナイフの達人で、銃声に顔色ひとつ変えない。
おまけに私は__
敵がナイフを突き出した。
私は相手が怯むことを期待して、壁に向けて一発撃った。
しかし相手は銃口から狙われた位置を読み切っており、少しも怯むことなく更に前進をしてきた。
背後からさらに気配。
私は倒れるように前方に体を投げ出した。
銃火のひらめきが路地を照らし出した。
金庫を叩き折るような銃声がして、耳元を弾丸が駆け抜けた。
私が撃った銃弾ではなかった。
体が凍りついた。
しっかりと視線を向けることは出来なかったが、すぐに理解した。
背後に敵がもう一人いる。
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ミュウ=ムー(プロフ) - 教えてくださり、ありがとうございます。 (2018年9月20日 19時) (レス) id: 1429768fb6 (このIDを非表示/違反報告)
kana(プロフ) - オリジナルフラグははずさないといけませんよ。違反行為なので (2018年9月20日 19時) (レス) id: 8d50bc542b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皇帝ペンギンM← | 作成日時:2018年9月19日 21時